司法書士が奈良まで本人確認に行く理由

2016年12月19日

朝7時過ぎに自宅を出発。スタバでラテのアイス、グランデを購入。8時前に高速に乗る。

 

一路、奈良へ。

 

晴れ。実にドライブ日和。

 

3度停車して、トイレと腰伸ばし。

 

11時半には奈良市内の待ち合わせ場所であるチェーン店のコーヒー屋さんに到着。

 

 

ほぼほぼローカルな仕事である司法書士が出張するとすれば、概ねこれである。

 

本人確認。

 

所有権というのは、とても大切な権利である。

 

不動産は通常財産的価値も高く、これを人に譲るという場合、その意思に間違いがないかを確認する必要がある。

 

不動産登記をするのは法務局であるが、法務局は提出された書類でのみ判断することを旨とするので、その背景にある(実体である)意思の有無を判断するのは司法書士の職責である。

 

この意思とか、権利とか、自由というのは実にナイーブで、傷つきやすい。

 

ゆえに大切の保護しないといけないよってことで、日本国憲法では前半に沢山の権利・自由の保護が明言されているのです。

 

傷つけられて初めて表面化する。

 

そうならないように、事前にお会いして、その意思を確認する。前提としてその判断能力があるのか?も含めて。

 

そして、その意思決定が適切になされるように、適切な情報を提示する。つまり、出来るだけ分かりやすく説明する。

 

それにはやはり、実際にお会いできるに越したことはない。

 

 

今回の案件は、ちょっとややこしい。ちょっとだけど。

 

とある町で地籍調査が行われた。今までうちの敷地の一部だと思い込んでた部分が、他人所有であることが判明した。登記簿をとってみると、更に数代前の名義のままであることも判明。現相続人を探し出し、連絡して、相続登記を挟んで、依頼者に譲ってもらう(時効取得させてもらう)というもの。

 

突然、司法書士からこの旨の手紙が突然届く。

 

驚かれたのだと思います。電話の向こうの声がどこか冷ややか。当職に対する不信感があるのだと思います。

 

手紙と電話だけでは、伝えられないものがある。実際にお会い出来れば、誤解を解くことができるという強い思いも。

 

何度か手紙のやり取りと、電話を通じて、ちょっとだけ信頼感を築けたように思う。言葉の端々に温かみが感じられるようになった。

 

そこで、本日、お会いする機会が持てた。

 

10分ほどで終了。

 

心配されていたことの質問に丁寧に答え、依頼者さんの人柄についても説明した。

 

「長引かせてしまってゴメンな。 うち、気が短いねん」 と笑顔で。

 

「いえいえ、こちらこそ説明が足らずすみません」

 

「コーヒー代はしっかり割り勘にしような、笑」 と奢らせて頂けませんでした。

 

本人確認は、確かに義務なんですが、法律を超えた重要な意義があるように思えますね。

 

AIが発達したら、司法書士の登記業務なんて無くなりそうですが、もしかしたらそうでもないのかもしれませんね。

 

 

せっかく奈良まで来て、すぐに帰るのも何なんで、近くの

 

唐招提寺へ。

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そのまま歩いて、薬師寺へ。

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セミナー打ち合わせが18時半にセットされているので、急ぎ金沢へ。

 

ちなみに旅のお伴には、最近でた中島みゆきのベスト

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7時間ほど中島みゆきの歌詞に浸ってると、なんかまっとうな人間になれたような錯覚に陥れますよ。

 

拳を突き上げたくなるような。

 

元気がない人にはお薦めです。

 

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 生前贈与・売買登記

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権利証(登記識別情報)がない?

2016年12月15日

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「買主さんが、司法書士の先生から権利証をもらってないって仰ってるんですけど」

 

・・・・・・・・・

 

これが朝一の電話。

 

とある銀行さんから。

 

胃のどこかがチクッとする。

 

司法書士としてはなかなかな内容である。

 

もう少し詳しく話をしよう。

 

半年ほど前のとある不動産売買登記を当職が行う。

 

相続登記や不動産売買登記等の所有権移転登記においては、登記完了後、登記識別情報という所謂権利証が発行され、司法書士が受け取る(再発行不可)。

 

当然ながら、最も大事な書類である。

 

これを本人に返して初めて仕事は終わる。

 

それを本人に返していないとなると、大問題である。

 

近々に新たな登記が予定されていてそれまで預かるという司法書士事務所も少なくないと思われるが、うちはそれをしていない。

 

大問題という意識があるので、返していないはずがない。

 

司法書士には終わった仕事でも書類の保存義務があるので当時のファイルを出してきて、本人さんに連絡。

 

僕らには当たり前のものでも、登記識別情報の形態って一般の方には馴染みがない。

 

○月○日にレターパック(書留)で送った、緑のもっともらしい封筒(うちで用意)に入った、緑のシールが貼られたものです。もう一度ご確認下さい。と。

 

2時間程の後、本人さんからの連絡

 

「すみません、ありました。しっかりした封筒に入ったやつですよね」

 

かなり安心した明るい声。

 

たぶん、それ以上に安心した声で、

「はい、それです。よかったです」と、当職。

 

権利証(登記識別情報)をお返しする際、当職はこのように言います。

 

「緑のシールをはがすと、アルファベットと数字で12桁の暗号が書かれています。次に売却したり、担保にしてローンを組みたいというときまでは必要のないものですから、封をしたまま大切に保管して下さいね」と。

 

今回、新たに担保にローンを組むときが来たんですね。

 

銀行にこれでいいと思って持って行かれた書類の中に登記識別情報が含まれていなかった。たぶん、銀行さんは今回の抵当権設定登記のために司法書士が本人に返さず、預かっていると思っての電話だったんでしょうね。

 

あれっ?

 

抵当権設定登記のご依頼受けてませんけど。。。銀行さん。

 

登記識別情報の封筒に事務所名と電話番号が書かれている理由は・・・・・・

 

まあ、見つかってよかった。よかった。

 

 

では、どうしても登記識別情報が見つからなかったら?

 

その場合、事前通知や本人確認情報の作成、公証人役場を使った方法がありますが、本人確認情報作成を採用するでしょうね。

 

別件でしたが、午後からはこの本人確認情報作成のための資料預かり。

 

写真付きの運転免許証だと1通、健康保険証・年金手帳なんかだと2通。やっぱり運転免許証って都合のいい身分証明書ですよね。高齢者の返納が求められていますが。

 

ただ、この本人確認情報作成費用を基本どの司法書士も取るので、権利証(登記識別情報)は大切に保管して下さいね。

 

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