相続放棄者が参加した遺産分割協議の有効性

2017年6月21日

本日は、お世話になっている保険マンが前職の金融機関の支店長さんをご紹介下さるということで、図々しくお邪魔。

 

その道すがら。

 

お世話になっている税理士さんから電話。質問。

 

「相続放棄をした人が遺産分割協議に参加した場合、その遺産分割協議は有効?」

 

よくセミナーなどではこんな言い方をする。私は。

 

遺産分割の話し合いには相続人全員が参加するんですよ(同席という意味ではない)。

 

相続人でない人が参加してもダメだし、足りてなくてもダメ。

 

とまあ、砕けた言い方をする訳ですが。

 

相続放棄というのは家庭裁判所に申述して受理されて初めて成立するんですが、相続放棄をすると元々相続人でなかったと扱われます。

 

つまり、相続人でない人が参加した遺産分割協議の有効性は?という話になる。

 

さっきの言い方だとダメということだが、有効か?無効か?という法的な話になると、即答しかねる。

 

遺産分割協議というのは複数の相続人が参加して結論を出したものだから、後になって勝手に解除できないというように、法的安定性のようなものが求められている。

 

ということからすると、無効とはしにくいだろうなという方向性は何となく分かる。

 

支店長さんに会いにいく途中でしたから、パートナー司法書士にLINEで調べておいてとお願いする。

 

最高裁判例はないが地裁レベルでは、

 

相続人でない人が参加していても、相続人全ては参加しているわけだからやはり無効とはしない。相続人でない人が取得した財産があるなら、その部分だけ無効とし、それを再度相続人で分ける。

 

つまり、相続放棄者が参加した遺産分割協議も有効。

 

さらに言えば、相続放棄者は放棄した後でも、遺産を処分するような行為をすると、放棄はなかったことになり、相続したものとみなされるので、その者が取得した部分も有効となるでしょうね。

 

とても面白い質問でした。

 

 

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在日韓国人の相続登記の費用と時間

2017年6月12日

在日韓国人の方の相続登記が完了したので、依頼者さんの書類の返還が本日最後の仕事。

 

とても喜んで下さいました。

 

 

最初に事務所に来られたのは、依頼者さんの息子さん。

 

4月の下旬。ホームページを見てのご相談。

 

最初に相談しに行った事務所では、法律が変わって在日韓国人の相続登記は難しくなった。費用は100万円くらいかかる、と言われたそうで。

 

私が独立して6年。何度か在日韓国人の相続登記をさせて頂いたが、難しくなったという記憶はない。

 

では、費用は?

 

まず登録免許税は不動産評価額の1000分の4。固定資産税の通知書をお持ちだったので、その場で計算しても1万円未満。

 

司法書士報酬は、各事務所の報酬体系で決まる。

 

うちはシンプルな考え方です。うちが働いたら働いた分に見合うだけの報酬を頂きます。働いたら報酬もらいたくなるということです。

 

話を聴くと、大阪にお住まいのご家族が、領事館を通じて韓国の家族関係証明書や除籍謄本を取得して下さると。依頼者さんの息子さんである相談者さんは韓国語が読めてご自身で日本語に翻訳できるとのこと。

 

しかも、今回、相続人は、依頼者さんただ一人。遺産分割協議書も作らなくていい。

 

つまり、相談者さんたちがご自身で動かれるということ。司法書士の私のところには必要書類が集まって来るということです。

 

働かないんだから報酬を頂きません。

 

うちの相続登記申請の報酬体系に則り、5万円。日本人の相続登記と変わりません。ちょっとだけ書類が多かったことと、足りない書類を補わせてもらったので5000円だけ追加。

 

登録免許税合わせても7万円いきませんでした。

 

100万円から7万円にプライスダウンです。笑。

 

依頼者さんであるお母さんと相談者さんの息子さんが本日お見えになって、とっても喜んで下さいました。

 

ちなみに、領事館を通じて書類を取り寄せるのに幾らかかったんですか?と聴いてみたら、1000円もいかなかったそうです。

 

時間も完了まで1か月半。ほとんどが取り寄せて翻訳するだけの時間。

 

最初の事務所さんは何であんなことを言ったんだろう?

 

想像するに忙しくて受けたくなかったのかな??

 

ただ、断るにしても、誤解がないように、別のところに相談に行ってみようと思わせるくらいの断り方をして欲しいものです。

 

ヒマなカルペなんとかという事務所なら受けてくれるかもしれませんよ、的な。

 

誰がヒマやねん。

 

 

最後にちょっとだけアドバイス。

 

依頼者であるお母さんの相続のときのお話になったので、在日韓国人に限らず外国籍の方には遺言(できれば公正証書遺言)をお薦めします。

 

本国から取り寄せる書類が無くなるので、かなり楽になるはずです。

 

そして、ちなみにですが、平成29年5月29日に始まった法定相続情報証明制度は在日韓国人の方の相続では利用できません。この制度は日本の戸籍だけで分かる相続関係に限られるからです。少なくとも今のところ。

 

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