「骨になってしもうたか」
ご遺骨を胸に抱いたお父さんの口からもれた言葉。
この日曜日の夜、自宅で夕食を終えた私の携帯が鳴る。画面には病院の文字。
出なくても内容は予想できた。
被後見人さんが亡くなったのだ。
昨年の夏に癌が発見された。積極的な治療ができないと医師に告げられた。
本人は施設で生活をする希望を持っていた。
しかし、体に器具を付けられた後は、看護師が常駐していない施設で生活することはできないと、晩秋のころに緩和ケアのできる病院に転院することに。
その際、年を越すことは難しいと医師に言われた。
本人さんは10代で親元を離れ金沢市の施設で暮らしてきた。実家は金沢から120㎞離れた輪島市の山中。90代になるお父さんが一人で暮らしている。
できるだけ本人の希望を叶えてあげて欲しいという要望もあり、おじさんのご協力も得て、金沢の病院にお見舞いに来てもらえた。60代の息子と90代の父。片道車で3時間近くかけて来られたであろうに、10分ほどの面会。会話らしい会話もない。
これで最後ということから、その日が来たら、輪島市から迎えにくることは難しいだろうから、成年後見人である弊所代表の私が、火葬しご遺骨をお届けすることをお約束して別れた。
医師の見立ては良いように外れて、桜が散っても、本人さんは生きていた。
退所した施設の方もプライベートな時間を使ってお見舞いに来てくれた。
最後と言っていたお父さんにももう一度お会いすることができた。やっぱり10分ほどだったけど。
他人のことは言えない。最後の1か月ほどは毎日顔を見に行った私もやっぱり10分ほどの会話。いや、5分ほどだったろう。
病院からの電話に出た後、すぐに病室に向かう。医師も来られて死亡確認がなされる。看護師さんから病院には2時間くらいしかいられないということで、すぐに葬儀屋さんに連絡。1時間ほどで来てくれるそうだ。
服を整え、お顔をきれいにしてくれている間に、病室の荷物の片づけをする。
葬儀屋さんと病院を後にして、セレモニーホールに向かう。火葬は翌々日の朝10時と決まる。
斎場に施設のスタッフの方々もお別れに来てくれた。
仕事が好きでした。お見舞いに行く度に、ここを出たらまた働きたいとずっとおっしゃっていた。
穏やかな方でした。スタッフみんなに好かれていました。
70分後、骨になった本人さんを箱に収めて、輪島に向かいます。
金沢より少し寒い輪島は、まだ桜が咲いていました。
おじさんを通じて、息子さんが亡くなったことは伝えてあります。
お父さんにご遺骨を渡します。病室で撮ったツーショットの写真も。
胸にご遺骨を抱いたお父さん。くしゃくしゃな顔。
司法書士はとても地味な仕事だと思っています。
でも、ときどき、いい仕事だなって思うときがあります。
弊所には若い司法書士もいます。
いい仕事だなって思ってもらえたらいいなって思います。
~石川県金沢市が繋ぐ成年後見ブログ~






