「骨になってしもうたか」

2026年4月16日

 

「骨になってしもうたか」

 

ご遺骨を胸に抱いたお父さんの口からもれた言葉。

 

この日曜日の夜、自宅で夕食を終えた私の携帯が鳴る。画面には病院の文字。

出なくても内容は予想できた。

 

被後見人さんが亡くなったのだ。

 

昨年の夏に癌が発見された。積極的な治療ができないと医師に告げられた。

 

本人は施設で生活をする希望を持っていた。

 

しかし、体に器具を付けられた後は、看護師が常駐していない施設で生活することはできないと、晩秋のころに緩和ケアのできる病院に転院することに。

 

その際、年を越すことは難しいと医師に言われた。

 

本人さんは10代で親元を離れ金沢市の施設で暮らしてきた。実家は金沢から120㎞離れた輪島市の山中。90代になるお父さんが一人で暮らしている。

 

できるだけ本人の希望を叶えてあげて欲しいという要望もあり、おじさんのご協力も得て、金沢の病院にお見舞いに来てもらえた。60代の息子と90代の父。片道車で3時間近くかけて来られたであろうに、10分ほどの面会。会話らしい会話もない。

 

これで最後ということから、その日が来たら、輪島市から迎えにくることは難しいだろうから、成年後見人である弊所代表の私が、火葬しご遺骨をお届けすることをお約束して別れた。

 

医師の見立ては良いように外れて、桜が散っても、本人さんは生きていた。

 

退所した施設の方もプライベートな時間を使ってお見舞いに来てくれた。

 

最後と言っていたお父さんにももう一度お会いすることができた。やっぱり10分ほどだったけど。

 

他人のことは言えない。最後の1か月ほどは毎日顔を見に行った私もやっぱり10分ほどの会話。いや、5分ほどだったろう。

 

病院からの電話に出た後、すぐに病室に向かう。医師も来られて死亡確認がなされる。看護師さんから病院には2時間くらいしかいられないということで、すぐに葬儀屋さんに連絡。1時間ほどで来てくれるそうだ。

 

服を整え、お顔をきれいにしてくれている間に、病室の荷物の片づけをする。

 

葬儀屋さんと病院を後にして、セレモニーホールに向かう。火葬は翌々日の朝10時と決まる。

 

斎場に施設のスタッフの方々もお別れに来てくれた。

 

仕事が好きでした。お見舞いに行く度に、ここを出たらまた働きたいとずっとおっしゃっていた。

穏やかな方でした。スタッフみんなに好かれていました。

 

70分後、骨になった本人さんを箱に収めて、輪島に向かいます。

 

金沢より少し寒い輪島は、まだ桜が咲いていました。

 

おじさんを通じて、息子さんが亡くなったことは伝えてあります。

 

お父さんにご遺骨を渡します。病室で撮ったツーショットの写真も。

 

胸にご遺骨を抱いたお父さん。くしゃくしゃな顔。

 

 

司法書士はとても地味な仕事だと思っています。

 

でも、ときどき、いい仕事だなって思うときがあります。

 

弊所には若い司法書士もいます。

 

いい仕事だなって思ってもらえたらいいなって思います。

 

 

 

~石川県金沢市が繋ぐ成年後見ブログ~

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