在外邦人のサイン証明は合綴型?

2018年3月12日

相続登記をする場合、遺産分割協議書を作成することがほとんどである。

 

その場合、各相続人は協議書に実印を押印し、印鑑証明書を付ける。

 

しかし、その相続人が外国に住んでいる場合、印鑑証明書を取得することができない。

 

そのため、印鑑証明書に代わって署名証明書(サイン証明)を付ければいい。ということになっている。

 

このサイン証明には2種類あって、一つは在外公館で領事の面前でこの遺産分割協議書にサインして遺産分割協議書と合綴した証明書。もう一つは、遺産分割協議書のような書類とは別にその署名が本人のものであることのみを証明したもの。

 

ここでは、合綴型と分離型という言い回しで進めていきたい。

 

もう一度言う。

 

印鑑証明書がとれない在外邦人にあっては、サイン証明を付ければいい。

 

どこにも合綴型でなければならないという通達はない。

 

以前別の法務局でこの分離型のサイン証明を使って不動産売買の登記をしたことのある当事務所では(法人登記の就任承諾書でもやったこともある)、はるかに依頼者の負担が少ない分離型を選択して登記申請に臨んだ。

 

結果、

 

法務局から補正の連絡。合綴型でなければならない、と。

 

そんなはずはないと反論。

 

その署名と証明書で同一性が確認される限り、登記の申請は受理されるはずである。(昭和33.8.27 民事甲第1738号)

 

印鑑証明書は登録している印鑑が実印であることを証明しているにすぎない。しかし、その陰影が書面にあると、本人が押したのであろうという強い推定が働くことから実印と印鑑証明書はセットである。

 

ならば、

 

分離型のサイン証明もその署名が本人の署名であることを証明している。その署名と同じ筆跡の署名が書面にあると、本人が署名したであろうという強い推定が働くはずである。

 

つまり、印鑑証明書と分離型のサイン証明は並列で考えるべきである。

 

署名に同一性が疑われるなら論外。同一性が認められる場合、登記を通さないという判断はあり得ない。

 

合綴型は、領事の前で署名したことの証明までしてくれている。その方がいい場面も否定しない。しかし、合綴型でなければならないとすれば、本人が市長の前で実印を押したことの証明を求めないと釣り合いがとれないだろう、って思う訳です。

 

引き下がらなかった結果、本日、「今回は」通すという回答。(その回答も行政の公平性に欠けると思っている)。

 

別に法務局にチャレンジしている訳ではない。依頼者にとってどうしても負担になるケースというのはある。それを回避する方法を知っていれば、それを提案するのは当然であろう。

 

僕らは、法務局のために存在している訳ではない。その側面も否定しないが、やはり1番は依頼者の利益である。

 

意外からもしれませんが、法務局とケンカすることがあります。

 

 

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