日曜日の夕方
スマホが着信。画面に馴染みの施設名。
イヤな予感。
「〇〇さんが誤嚥で心肺停止です。救急隊員が近くにいます。搬送先が決まったらまた連絡します」と。
その電話を受け取ったのは金沢から離れた場所。急いでも1時間半はかかるか?
しばらくして、
「△△病院に搬送しましたが、死亡が確認されました」と。
急ぎ、△△病院へ。
途中、△△病院から「ご遺体はいつ引き取りに来てくれるのか?」と催促の電話。
〇〇さんは、先に奥様、子を亡くしており、補助の申立てはいわゆる市長申立て。市長申立ての場合、本人に財産がない場合が多い。〇〇さんも年金でやっとの生活を送っていた。末期がんを患っており、自宅で一人暮らしが難しくなっていた。そんなとき、自宅敷地を買いたいという隣人が現れ、その売買代金で施設に入る目途がついた。自宅は修繕不可能なくらい傷んでおり、市も解体を希望していた。
当職が選任されたのはかかる事情からで、不動産売買、施設入所の手続きを開始。
いずれ売買代金の残金も無くなることは明らかで、生活保護申請も予定していた。
定期的に面会する中で、一番気にしていたのは、先に亡くなった妻と子の納骨である。随分前に亡くなっていたのだが、遺骨は自宅から施設の部屋に持ってきていた。テーブルの上には骨壺と位牌が並んでいた。
まだ、残金に余裕があったので、納骨をしたいという〇〇さんの希望に沿って、面会にも来てくれている姪っ子さんと相談して、東別院さんに無事納骨を済ませることができた。
それから1か月も経たず、その日がきた。
死後事務を姪っ子さんがするのはかなり難しいので、そのお手伝いをする。
残金はどんどん減っていく。
でも、不思議なほど、きれいに支払うことができている。
この言葉が正しいかは分からないが、
「立つ鳥跡を濁さず」といったところか。
ご家族の納骨にホッとされたのかな?
~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ成年後見ブログ~