共有持分の時効取得登記(裁判編)

2026年2月16日

登記が完了しました。難解な登記が。

 

最初のご依頼はシンプルな相続登記でした。

 

しかし、対象不動産であったご実家の土地が5人の共有状態になっていることが判明。圧倒的な持分はご依頼者さんなのですが、あとの4人は300分の10とか。

 

調査してみると、依頼者さん以外はだいぶ前に亡くなっていることが判明。

 

なぜか?登記簿も事故簿(コンピューターに移記されていない紙の登記簿)

 

ご依頼者さんはというと、ご実家ということもあり、費用、時間をかけてでも共有状態を解消したいという強いご希望。

 

さて、どうやって共有状態を解消しようか?

 

いろいろ考えたが、時効取得を原因とする持分移転がよかろうという結果。

 

ただ、ここで1つ疑問?

 

時効取得には「所有の意思をもって他人の物を占有する」ということが必要です。つまり自主占有である必要があります。

 

でも、共有状態って、普通に考えれば、ほかに共有者がいると知っているはずで、他人の物を他人の物って知ってて占有しているだけなので自主占有って言えないんじゃないかな?ってこと。

 

調べてみると、裁判でも認められないケースがあるみたい。

 

今回は自宅の敷地だったわけで。固定資産税も当然払ってきた事実もある。認められるケースだろうと予想はつくが、もし相手が争ってきたら勝てるだけの証明はできるの?という心配も。

 

というわけで、まずは共有者も相続人たちにご協力のお手紙。

 

全員が協力してくれるのであれば裁判の必要はない。

 

ここでは亡き共有者さんたちをA B C Dとしよう。Aには相続人が4人、Bには2人、最高で10人だった。めちゃくちゃ多いっていうわけもない。

 

お手紙で協力してくれると回答があったのはAの相続人さんたち。全員の同意があって初めて実現できる。

 

4人の相続人全員にお会いして本人確認。印鑑証明のご用意もお願い。

 

亡Aの相続関係を記し、亡Aの持分を時効取得する旨を記載した登記原因証明情報を作成して登記申請。

 

すんなり登記完了。

 

B、C、Dさんの相続人さんは数人から同意が得られず、裁判に移行。

 

実は、裁判の方がいい面もある。判決が取れれば、各相続人の印鑑証明が不要なのだ。とはいえ、先に述べたように、相手方が争ってきた場合、絶対勝てる証拠をそろえられるのか心配な面も。

 

訴訟は相手方が欠席した場合、全てを認めたことになり、事実の証明が不要になるというルールがある。

 

なので根回しも大事。この裁判は形式的なもので、相手方の皆様に不利益はなく、裁判所から通知が届いても欠席してくださいと事前にお願いしておく。

 

それでも、こちらの意図した通りの判決が出るのか若干不安もあったのでとりあえず相続人の少ないBのケースで訴訟を提起。

 

被告になる相続人のお二人も欠席されて、2週間後には判決。

 

当然といえば当然ですが、こちらの主張通りの判決が出て、判決確定後登記申請。

 

Bの判決が出てすぐ、安心してC、Dのケースも訴訟提起。判決を得る。

 

この全ての登記が完了したのだ。

 

ご依頼者の熱意のおかげで、弊所の経験値が上がった案件となりました。

 

 

~石川県金沢市がつなぐ所有権移転登記ブログ~

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