昨日の日経に、中小都市・中山間地域で50年以上登記の変更がない土地の用途を見ると、田畑は23.4%、山林では32.4%に達した、という記事が載っていましたね。
相続登記がされていない不動産が沢山あるということ。
本日は、午後から、新しく就任した成年後見人の被後見人さんにお会いしに、入院されている病院へ。初めてお会いするので、パートナー司法書士と二人で。
成年後見人は、認知症等で判断能力が欠けていることが常態化した方に代わって財産を管理する法定代理人です。
日常の財産管理や法律行為等で不利益にならないように、その必要性を感じた場合、通常ご家族が家庭裁判所に申立をします。
では、申立をしてくれるご家族がいない方、法的に身寄りがない方はどうなるの?
同じように、財産管理等でその必要性が認められるのに。
その場合、市長さん等の首長が申立をします。
金沢市もここ最近ようやく重い腰を上げたとか。。
本日お会いした被後見人さんは、まさにこの市長申立がきっかけでした。
その経緯についても本日訪問した病院でケースワーカーさんに教えてもらいました。
長年入院されている方だが、本来、その入院先が患者の財産管理のようなことはすべきでない、と。そして、首長申立ても以前よりしやすくなった、と。
申立のハードルが少しでも低くなることはいいことだと思います。
話を、冒頭の相続登記の話に戻してみよう。
数代に渡って相続登記をしていない場合、相続人が多数になることが多い。
そして数代に渡って放置される理由が、農地や山林等、資産価値が低く積極的に取得しようという風になりにくいこともあろう。
先の記事で、地方でその割合が多くなる原因の一端があるんでしょう。
で、
そのこれまで誰も欲しがらなかった資産価値の低い不動産を相続登記をしなければならなくなったとき、
相続人は多数。
多数なら、その中に成年後見人を必要とする認知症の方がいるかもしれない。
遺産分割協議は法律行為ですから、認知症の方はできません。
成年後見人は被後見人の権利を護る義務がありますから、遺産分割協議にあっては最低限法定相続分を確保しないといけないことになっています。
相続人が多数、資産価値が低い財産、ということになると、その法定相続分に相当する財産はわずかばかり。
そのために成年後見人選任の申立をしてくれるだろうか?
成年後見人申立のハードルが少しでも低くなることはいいこと。
そして、もしかしたら、成年後見人の申立をしなくても被後見人の権利を護る他の制度も必要なんじゃないかな?
長期的な成年後見人ではなく、一時的な何か。
あるいは、成年後見人が選任されなくても、相続で不利益を受けない制度。
相続登記が進まない理由って、結構複雑ですね。
複雑になる前に、相続登記するのが1番なんですけどね。
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