司法書士は登記の専門家である。少なくとも依頼者さんの前ではそういう顔をする。
が、何でも頭に入っている訳ではなく、自信がなければ調べる。
たぶん、多くの司法書士は、ネットに向かう。
で、大抵は他の司法書士のブログに行きつく。
その内容を参考に、おそらくそこに記載されている条文・書籍等で裏をとる。
相談者さんとの面談が終わり、デスクに戻ると、うちの司法書士君が何やら深刻な顔をして電話をしている。
漏れてくる内容から法務局からのようだ。
そこは余事記載で・・・・云々 同意書には実印が押されていて印鑑証明もついているから問題ない・・・・云々
ちょっと、相談してみます。ガチャと受話器を置く。
司法書士君が私の方を向いて、「申請している〇〇財団の代表理事変更登記で理事会議事録に議事録作成者の実印を押さないとだめじゃない?と言ってるんですが」
詳しく言うと、現在のコロナの影響もあって、理事会やら社員総会やらを書面で決議せざるを得ないケースが多くなっている。
こういうのをみなし決議っていうんですが、法律もそれを認めていて、理事会決議であれば、理事全員の同意があればOKです。
代表理事改選がある場合(重任ではない)の理事会議事録には、出席理事の実印が必要で印鑑証明もつけていくというのが原則です(規則61条6項)。
しかし、出席とあるように、現実に理事会を開く場合を予定していて、今回のようなみなし決議には当てはまらない。
理事全員が書面決議の同意書に実印で押印して、印鑑証明をつけていれば理事会議事録の印鑑に制限はない。
つまり、司法書士君の主張は正解である。
が、法務局は、そのことが書かれている書籍やら先例が欲しいと言っているそうである。
で、
司法書士君、ネットに向かう。やっぱり。
ハハハハハ
笑い出す、司法書士君。
「こんなブログの記事が出てきました」と、見てください的にパソコンを私の方に傾けてくる。
覗き込むと、
「代表理事をみなし決議で選任」というタイトルのブログ記事。
書いているのは、金沢市の司法書士が繋ぐ路アメブロ。
・・・・・・・
・・・・・・・
アハハハハハハ
「法務局に言ってやったらいいよ。有名司法書士のブログに書かれていましたから間違いないですって」
そう、
金沢市の司法書士が繋ぐ路アメブロは、司法書士法人カルペ・ディエムの前身である路法務司法書士時代の私のブログである。
という訳で、ブログの記事をコピーして、私自身が法務局に説明に行きました。
もちろん、ブログコピーの他に、他の書籍のコピーも持って。
~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ法人登記ブログ~