先日、中国人の印鑑証明書を使った不動産登記の記事を書きました。
この依頼者さん、実は、会社設立の依頼者さんだったんですね。始まりは。
で、本日、その設立登記が完了しました。
日本にいる間に完了させて欲しいというご希望で、かなりタイトなスケジュールになってしまいました。
そんな案件なのに、昨日、法務局から連絡。
定款の発起人は外国籍ですよね。氏名がアルファベットでしか書かれていないので、カタカナを併記しないと登記できませんよ、というもの。
アルファベット記載しかされていないのには理由がある。レアケースだと思うんですが、発起人さんの印鑑証明書にはアルファベット記載しかされていないのだ。漢字記載もカタカナ記載もされていない。印鑑証明書に記載されていない文字を定款に記載することの方が抵抗がある。
さらに、既に、アルファベット記載のみで公証役場に認証は受けている。つまり公証人もそれでよいと言っている。
えっ? 発起人ですよ。取締役ではなく。
取締役は登記事項であり、登記簿にアルファベット記載は認めれていないので、カタカナ表記しないといけないというのは理解できる。
登記事項でもない発起人がアルファベット記載じゃだめな理由って何?
調査官曰く
定款は日本の文章だからアルファベット記載はだめなんです。
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ピンとこない。(あとからネット検索したら別の司法書士さんのブログに同じことが書かれていた。調査官はこのブログを読んだらしい)
「日本の文章だから」と「アルファベット記載はだめ」はちゃんと繋がるのか??
会社設立には原則発起人の口座に資本金を振り込みコピーを添付書類とするルールがある。この口座名はカタカナで記載されているので、定款の発起人がアルファベット記載では、これが同一人物だと分からないでしょ、と。
おおっ
これは納得。
では、私が訳文をつけて補足しましょうか?と提案。
不動産登記においては、外国の公文書を使用することがたまにある。日本にいない方の印鑑証明書や戸籍に代わるものだったりで使用する。そんなとき訳文を付けるのだが、その訳は誰が訳してもよい。だから司法書士が訳文をつけることは構わないのです。
これで定款のアルファベット記載発起人と通帳のカタカナ記載発起人は同一人物ということになるでしょう。
調査官はさらに続ける。
公証役場で誤記証明出してもらうわけにはいきませんか?と。
これは誤記なのか?
先に述べたようにできるだけ早い完了が優先順位最高位。
ここは折れて、公証役場に連絡。あっさり誤記証明が出してもらえた。内容はアルファベット記載とカタカナ記載を併記したものが正しいんですよというもの。
公証人も誤記と認めたようだ。
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理屈は分からないが、たぶん、法務局が正しいんだろう。
次は併記しよう。
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