発起人以外の氏名が記載された通帳(払込を証する書面)

2023年4月14日

3月4月は法人設立のご依頼が続いたのですが、いくつかレアなケースがあったのでここでご紹介しよう。ていうか、備忘録。

 

株式会社の設立での一幕。

 

株式会社の設立に際して、資本金の入金を発起人(=株主)にお願いする。

 

かつて、私が事務所を開いた頃、10数年前は、ガチガチに考えていて、入金にあたって摘要欄にご自身の名前が出るようにお願いしていました。

 

発起人である私が資本金を入金したんですよ、と一目で分かるように。

 

今回、発起人ABがいて、そのうちのAの個人口座に資本金を振り込みます。

 

資本金を振り込んで記帳した後の通帳のコピーを払込みを証する書面として使用します。

 

つまり、前なら摘要欄にAと出てくるようにしていました。

 

それが、摘要欄が空白でも構わないというやり方をとるようになって久しい。

 

それが今回、この通帳のコピーを見るとCという方が出てきました。

 

Cは発起人でもなければ、取締役でもありません。

 

話を聴くと、Cは振込の協力者だそうで、いわば使者ということ。

 

さて、これでも登記に使えるのだろうか? Cという名前が出てこないようにやり直してもらうという方法もあったんですが、書籍をあたってみる。

 

すると、商業登記ハンドブックにこうあった。

 

「払込人は、各発起人であるが、発起人を使者としてこれをに交付して入金してもらうことや、使者を通じて振込入金することもあり得るため、預金通帳に各発起人の氏名が表示される必要はない」と。

 

通帳の摘要欄にAが出てこなくていいのは、このことから。

 

このように使者を使うことを予定している以上、使者Cの氏名が出てきても構わないと読める。

 

念のため、法務局に照会する。

 

Cの氏名が記載された通帳でも、払込を証する書面として大丈夫?と。根拠はこの書籍の記載。結果は、構わない、と。

 

ということで、特に依頼者さんにやり直しを求めず、登記申請。一応、Cは使者ですと、添え書きしておいたけど。

 

無事、設立完了。

 

思いがけず、経験値があがるということは、この仕事をしているとたまにある。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ法人設立ブログ~

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