お力になれなかった件(退職手当の話)

2016年12月13日

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私のブログを読んで下さっている奇特な方は、あゝ司法書士って結構役に立つんだなって思って下さっている、と信じております。

 

特に、あの敏腕司法書士なら何でも解決してくれるんだなって思ってくれているかもしれません(さすがにそれはないかな?)。

 

そう願って毎日更新しているわけですが、

 

ぶっちゃけて言いますが、たぶん私のブログだけではないと言い訳がましく言いますが、

 

表と裏なら表、陰と陽なら陽の面をクローズアップして書いています。

 

 

今日は、表と裏なら裏、陰と陽なら陰、当職ではお力になれなかった件をお伝えします。

 

最近の話です。

 

労働問題で困っている方の相談にのってあげて欲しいということで、面談したのが先週末。

 

ナイーブな面も多いので、内容はかなりざっくりと。

 

契約社員として働いてきたが、最近契約の大きな変化があった。その際に、退職手当が支給された。

 

ここまでならいい会社だなって思える。

 

ここからは税務の話。それを退職金として申告してくれれば退職所得としてほぼ所得税がかからない。それを手当(給与)として申告するので驚くほどの所得税を引かれてしまうことに。

 

会社に退職金扱いにして欲しいと懇願したが聞き入れてもらえなかったということで、司法書士に相談ということになった。

 

退職金、税務ということで、司法書士の職域をほぼ超えている。

 

が、なぜ会社は退職金としてくれないんだろう?という単純な疑問が残る。何より、目の前の方は困っている。何とか力になってあげられないかなって単純に思う。

 

こういうときは不思議と力になってくれそうな面々に会う機会がやってくるものだ。

 

まずは、会社設立で依頼下さった社労士先生と会う機会が。質問。

 

退職金となるだろう。手続きも簡単なものだよ。と。

 

次は、年末調整で税理士先生と会う。質問。

 

会社が退職手当として申告して納税まで済ませているものを、本人が税務署をして覆すのは難しいだろう。

 

ここで再度預かっている資料を一から読み直す。最高裁判例にも目を通す。それが今日。他の業務はパートナー司法書士にお任せ。

 

どうもこういうことらしい。

 

それが実質退職であるならば、そこで支払われるものは名称如何ではなく、税務署は退職所得と扱う義務が生じる。しかし、それは会社が退職金として申告すれば、ということ。

 

今回のように、会社が退職金として申告してくれない場合の、是正手段が見つからない。

 

うーん。

 

司法書士が代理人になって会社と交渉出来ればよいのだが、その権限がない。

 

 

税務に強い弁護士先生を知っている。質問。

 

やはり、税理士先生と同様、社員が税務署と掛け合っても退職所得扱いにしてもらうことは出来ないだろう。会社を動かすしかない。と。

 

ならば、弁護士先生に会社と交渉して欲しい。ところが、本人がそれを望まない。当然だ。

 

これからもそこで働いていきたいのだ。一社員の代理人として弁護士が今回の件で会社上層部と交渉して事を大きくされると、会社に居ずらくなる。

 

本人が会社を動かすしかない。

 

これ以上の結論は出せなかった。それが出来れば、そもそもうちに相談には来ていないのにも関わらず。

 

お力になれなかったことを伝えるというのは辛いものです。

 

当職も含めればこの4士業共通の疑問。なぜ、会社は退職金として扱ってくれないんだろう?会社の負担は変わらないと思えるのに。税金を払ってもらえる国より、これからも自社で働いてくれる社員を喜ばせてあげたらいいのに。

 

 

※ なお、今回の内容は、当職が至った結論であって、正しいという自信があるわけではありません。同様の問題に直面されている方はお近くの税理士等に必ずご相談ください。今回は大きな会社でしたが、話せば中小の会社の社長なら退職金扱いにしてくれる可能性が高いというのが税理士先生のご意見でしたよ。

 

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相談者さんの痛みに鈍感になるな!

2016年12月5日

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先日、こんな法律相談を受けました。

 

相談者さんは、とあるお店を経営しています。

 

開業以来数年続いている取引先から理不尽な(と思われる)圧力によって、無茶な要望を求められているという。

 

その要望に応えてこれからも取引を続けるのか? この機会にそことの取引を止め、その要望の違法性を主張して損害賠償を求めようか?というもの。

 

そのお店は、開業来そことの取引があってのビジネスモデルであり、大事にそこをブランディングしてきたのだ。

 

当然、可能なら、取引を続けたい。

 

しかし、多くの起業家がそうであるように、自分のお店は自由に営業したい。

 

誰かに隷属するような関係にいるなら起業した、自分のお店を持った意味がないと考えるだろう。

 

今回は我慢できたとしても、これからも同じようなことが起きたら?という不安があっては、将来を展望しにくいし、そもそも楽しくないであろう。

 

理想は、違法性を主張して断絶するという極端なものではなく、相手にも取引の自由があるので幾らかは譲歩しても、今後同じようなことがないよう継続的取引契約書のような書面を交わすということであろう。

 

が、実際に、そのような理不尽な要望をしてくるような信頼関係を築こうとしているとは思えないところが、書面に応じるかは甚だ疑問である。

 

息を吸うのと同じくらいと言えば大袈裟からもしれないが、当たり前のように思ってたことが当たり前でなくなるというのは、実に息苦しいものである。

 

これからもそれが続くと思えば、やはり、それは”理不尽”である。

 

 

 

先週、当事務所のブログにちょっとした行き違いからクレームがついた。

 

幸い、取引先や依頼者さんではない。

 

このとき思ったのは、これから何かを気にして”自由”に書けなくなるのではないか?である。

 

このとき、他の人からはバカに思えるかもしれないが、

 

私は、結構、かなり、このブログを書くということを大切にしてきたんだな、という自覚。

 

先週末、異業種の方々と飲む機会がありまして、司法書士って何しているか知ってる?という話になり、隣接士業の方もいましたら全員ではありませんが、ほぼ全滅。

 

これが現実です。

 

何を売ってる店か分からないのに、お店に来る人はいません。

 

当たり前です。

 

だから、私はブログを書いてきたんです。

 

司法書士ってこんなこともしてるよ。登記だけじゃないんだよっていう思いを込めて。

 

勿論、司法書士に向かってではなく、ふつうの人に向かって。相談に来て下さる可能性のある人に向かって。

 

もし、これまで当たり前のように自由に出来たこのことが自由に出来なくなるとしたら?

 

それは、店主のような目の前の現実的な苦しみとは違うかもしれないが、非常に息苦しさを覚える。

 

 

長くなってきたので、まとめます。

 

法律相談に来られる方は、何か痛みを伴っているということ。自由とか権利とか大事なものが侵された、侵されそうになっているということ。

 

本来返してもらえる権利があるのに、約束が守られると信頼してきたのに。

 

全く同じように共感することは無理でも、想像はできる。

 

そのことに鈍感になってはいけないな、って。

 

今回の事件は、そのことを自覚できた、ということで、プラスに考えましょう。

 

 

で、ブログは書いていきますよ。これからも。

 

私が何屋さんか?を知ってもらうために。

 

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