とある銀行さんから電話。
抵当権の債務者が亡くなったので、債務者の変更をお願いしたい、と。
抵当権というのは担保のことで、住宅ローンを組んだときに自宅に設定されることが多い。
ローンを組んだ人、銀行から融資を受けた人を債務者っていうが、債務者が亡くなると、その借入も相続の対象になる。(住宅ローンだと保険で返済されることも多い)
債務者の相続人が、年金暮らしの妻、お金持ちの長男、最近失業した次男としよう。あくまでも、例えばですよ。
この3人が、遺産分割の話し合いの中で、次男さんが「よし、借金はオレに任せておけ」と男気を見せたとしましょう。
お母さん、長男さんは、うんうんよし、そうしようと思うかもしれません。
が、一人そう思わない人がいます。人というか、貸した側、銀行です。
お金持ちの長男さんが引き受けると言うならまだしも、将来が不安な次男さんでは銀行は返済が不安です。
したがって、債務の遺産分割協議は債権者(銀行)の承諾があって、現実の効力が発生します。
今回は、言うなれば、長男さんが引き受けるならいいよ、と銀行が承諾したようなケースでした。
が、
電話の声は、比較的若い行員さんの感じ。
何が必要なの? 書類の文言は? と、何となく心配なんだろうなって思えたので、銀行に行きましょうか?って提案すると、いいんですか?と喰い気味の返事。
抵当権の債務者の変更登記には、「設定者(所有者)の印鑑証明は不要です。」
とても自然な、驚きの声も頂きました。
そして、遺産分割協議をしている今回のケースは登記の申請件数も1件で済みます。
この辺は、何のこっちゃ?という反応。
依頼者さんの費用に関わる大事なことですが、まあ、そこはいいでしょう。
分からないときは、専門家に丸投げしちゃう、というのも効率的ですかね。
とは言え、理解しようとする気持ちは大事ですよ。行員さん。
その数時間後、今度は、信金さんから。
「債務者が会社をもう一つ作ったので、連帯債務者に加えたいんですが」
さっきのを免責的債務引受といい、これを重畳的債務引受っていいます。
登記的することは、ほぼ同じです。
重なるときは重なるものです。
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