本日、受任から2か月ほどで申請できた相続登記。
丁寧にできたな、という案件。
亡くなったのは、お父様。随分前。
相続人は子供たち。と言っても、60代、70代。依頼者さんは、唯一の男性で、長男の責任から田舎の不動産を相続。
いつまでも放置しとけない。
と言うのも、相続人の中に、音信不通の方がいる。依頼者さんからすればお姉さん。
何故、音信不通になったかの事情もお聞かせ頂いていた。
音信不通と言っても、相続では、司法書士は戸籍の附票というものを取り、最後の住所地までは捜索ができる。
そこにお手紙を送る。遺産分割協議にご協力下さい。若しくは、遺産分割協議書に押印の上、ご返送下さいみたいな。
今回、気になったのは、この音信不通の相続人さんが、ご自身の住所を他の相続人(兄弟姉妹)に知られたくないんじゃないか?ということ。
かなり前になるが、ものすごく相続人が多数の案件があって、皆さんに相続関係が分かる書類(相続関係説明図)を送ったことがあったんですね。その中に住所の記載まであって、ある方から「私の住所知られたくなかった」というお叱りを電話を頂いたことがあり、ハッとさせられました。
なるほど、例え相続人間でも、親族でも、或は親族だからこそ、知られたくないということもあるんだなって。
それから、相続関係説明図を送る際には、住所を全て消し、遺産分割協議証明書を送付します。
皆さんは、遺産分割協議というと、一つの書類にみんなで印鑑を押し合うみたいなイメージを持たれると思うんですが、
これだと、相続人が多かったり、遠方の人がいたりすると、かなり不便です。
それで、実際は、相続人1人につき1枚、遺産分割協議証明書を送り、相続人の数だけ証明書が揃えば、1枚の遺産分割協議書と同じ役割を果たすというようなやり方をとることが多いですね。
これも、他の相続人の住所を目にしないという効果もある訳です。
自分の住所も知られない。
司法書士だけが知るということになります。
今回、この音信不通だった相続人の方に、兄弟姉妹に住所を内緒にした方がいいですか?とお手紙にも書いておきましたら、遺産分割協証明書をご返送下さる際にそのようにして欲しい旨のお手紙が添えられていました。
他の兄弟姉妹にその旨を伝えたら、意思を尊重してあげて欲しいというお答えも頂きました。
こういう配慮でスムーズに進む相続もあるんだなって実感しました。
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