遺言の不動産表記は明確に!

2020年1月27日

本日、待ちに待った不動産登記が完了した。

 

まさに、待ちに待った。

 

依頼者さんは、とある会社の社長さん。内容は、遺言に基づく所有権移転登記。遺言者は先々代の祖父。

 

依頼者さんが、今後会社経営をしていくためには絶対に実現しなければならない登記。

 

しかし、今回の遺言は自筆証書遺言。そして、不動産の表記が、建物の家屋番号ではなく、お店の名前が書かれているだけ。

 

まず取り掛かったのは、家庭裁判所に検認の申立てと遺言執行者選任の申立。

 

続いて、不動産登記の申請を行うわけだが、先のように不動産表記が曖昧。

 

家族の中では、お店の名前が書かれていれば、「あゝあの建物ね」って特定できるのだけれど、法務局はどこを指しているのか分からない。

 

客観的でない以上、その記載は無効になるのか?というとそうでもない。

 

なぜなら、遺言は、遺言者の最期の意思表示。できるだけ、その意思を解釈してあげようという、最高裁の判例もある。

 

したがって、法務局もその方向で見てくれる。

 

もっとも、法務局がそう見てくれるには、それなりの疎明資料を提出してあげる必要がある。当然、事前打ち合わせも。

 

法務局は、「そこで間違いないよ」という全相続人の実印(印鑑証明付き)を求める傾向にあるようですが、それを避けたいから遺言にしているところがあるので、今回もそれを使わない。

 

で、

 

その会社が遺言を遺した当時使っていたパンフレット等で、そのお店がどこを指しているのかを示し、その住所を地番(家屋番号)で指すとここという住宅地図・公図も付け、名寄帳なんかも付けましたね。これらを基に上申書も作成。

 

申請後、法務局が何か言ってくるかな?とドキドキしてましたが、若干時間はかかったものの、特に何も言われず、本日、登記完了。

 

依頼者さんのご希望に、何より、遺言者の最後の意思を叶えることができて、ほっとしました。

 

とは言え、

 

遺言を作成する際は、不動産の表記はしっかり明記しましょう。

 

登記簿通りの記載。

 

法改正で、登記簿(コピー)をそのまま付けることもできるようになりましたから、自筆証書遺言を作成する際には、是非そのように!

 

もっとも、遺言は、遺される人のために作成するものですよね。

 

不動産の表記が曖昧だと、遺される人がそれを特定する手間がかかる。費用もかかる。

 

ならば、やはり公正証書遺言をお勧めします。

 

公証人が作成するので、不動産の表記は必ず登記簿で確認しますからね。

 

 

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