相続登記のご依頼を受けました。
つまり、不動産の所有権の名義変更のご依頼。
よく見ると、昭和前半の抵当権が残っている。しかも金融機関ではなく個人が抵当権者。さらに2人。
そのことを依頼者さんにお伝えすると、この機会に抵当権も消して欲しいと。
実際、抵当権がついた不動産は売れないですからね。
そこで抵当権者の調査に入る。
1件は抵当権者に相続が発生。もう1件は抵当権者へ連絡がつかない。
この場合どちらが消しやすいかというと、後者。
前者は相続人と連絡をとり了承を得る必要がある。押印やら印鑑証明を付けたりとご協力が得にくい場合も。
じゃあ、後者は?
連絡がつかないというのは、郵便を送っても宛所なく返ってくるということ。
連絡がつかない以上、返済して抹消しようとなる。
相手と連絡がつかないのに返済できるの?
できるんです。
供託という方法です。将来、相手が出てきたときに備えて、国に預けておくというくらいのイメージでしょうか。申請場所は法務局です。
いくら?
こういう古い抵当権の債権額は、何十円だったり、何百円だったり。当時はそれなりの額でしょうが、今だとたいしした金額ではありません。
これに利息を付けて返済額(供託額)を算出します。
どう算出するの?
ちゃんと法務省に専用ソフトがあってダウンロードできます。
今回は数百円の債権額で供託額は2000円ほどでした。
何枚もの戸籍を収集し、相続人のご協力を得なければいけない前者と比べていかに簡易なことか。
したがって、抵当権調査の段階で、役所から登記簿上の住所で戸籍や住民票がとれませんという回答がきたときの喜びようは、司法書士ならではですね。
安堵。
この金額で問題ないよね?と法務局と事前打ち合わせを済ませて登記申請となるわけです。
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