今日の朝一の相談。
机の上に「念書」と書かれたA4大の書面。
内容は、死因贈与契約書。
死因贈与契約とは、贈与契約ですが、贈与者の死亡によって効力が発生するというもの。
弁護士さんのところでも相談してきたそうですが、司法書士さんにも見てもらって
登記できるものかどうかを見て欲しいとのこと。
死因贈与は死亡によって効力が発生するので、遺言と似ているんですが、違いは遺言が遺言者の単独行為で作成できるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の二当事者で作成するというもの。
契約ですから、2人の意思表示で成立しますから、口約束でも成立します。
中身を見てみると、不動産も特定されていますし、死亡を契機に、所有権を移転したいという意思も明確です。
しがって、実体的には、死因贈与契約が有効に成立しているように判断できます。
では、登記ができるか?という視点でみますと、
遺言の場合は、受遺者が単独申請で登記ができるのに対し、死因贈与の場合は、贈与者側と受贈者の共同申請でないと登記ができません。
贈与者はその時点では死亡しているので、贈与者の相続人ということになります。
相続人は協力してくれるでしょうか?
相続人の利益に反する契約です。
応じてくれない場合訴訟の必要が出てきます。応じてくれるにしても、もし多数の相続人がいる場合は面倒です。
そこで、死因贈与契約書を作成する場合に、重要なポイントを一つお伝えします。
それは、「執行者」を定めておくことです。
遺言執行者と同じですね。
執行者を定めておくと、受贈者はこの執行者と共同で登記申請すればよいのです。
また、執行者は受贈者本人でも構いません。その場合は、尚容易になりますね。
あるいは、司法書士がいいと思いますが。
「自分の死後、大切な財産をどうしたいのか?」と迷ったら司法書士に相談しましょう。
まず、遺言がいいのか?死因贈与がいいのか?家族信託という選択も?
どれを選択するのか?
選択したら、ベストの記載はどういうものか?
せっかく作ったのに、その思い通りに実現できないとしたら、悔やんでも悔やみきれません。
まあ、悔やむときには、本人はもういないんですけどね。
1人で判断しないで、遺される大切な人が困らないようにしてあげましょうね。
~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ遺言ブログ~