3か月前の話。
土曜日。住宅メーカー。相談者さんと担当者さんと私。
相談者さんは銀行で住宅ローンを組んでこの住宅メーカーで家を建てたい。しかし、土地が亡くなったおじいちゃん名義のまま。
銀行が住宅ローンの審査を進めるにあたって、名義を相談者さんに変えてくれないと進められないと言ってるそうです。
お父様は既に亡くなっており、相談者さんは代襲相続人。他の相続人におばあちゃんがいて、認知症だそうです。
ここで問題になるのが遺産分割協議です。
遺産分割協議は法律行為で、その行為には判断能力が求められています。
認知症のおばあちゃんが参加しても無効若しくは取消の可能性があります。
こういう場合、おばあちゃんに代わって法律行為をする代理人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。
この代理人を成年後見人といいます。
遺産分割協議を前に進めるには、つまり相続登記をするには、成年後見人の選任が必要であることは、住宅メーカーの担当者さんもご理解頂いています。
ゆえに、その場に当職がいたのです。
住宅メーカーさんの希望は、ゴールデンウイークが終わる頃には、土地の名義を相談者さんにしておいて欲しい、とのこと。
つまり、期限は3か月。
申立ててから実際に遺産分割協議書に押印できるまで1か月半はかかるでしょう。
となると、申立ては遅くとも1か月内。他のご家族にもご理解頂き、さらにご協力を頂く必要があります。資料の収集も相談者さんたちに頑張ってもらわないといけない。
そんなに時間はありません。
とはいえ、目的は自身のマイホーム建設。頑張ってもらうしかありません。
私が設定しているタイムリミットぎりぎりに申請完了。
相談者さんと弊所がダブルで成年後見人に就任するパターン。
1つは時間短縮のためです。
遺産分割協議を始めるには、その前に裁判所への就任報告が必要です。この辺は慣れている専門家が断然早いです。当然、申立て書類を作成した司法書士がなお早いです。
相談者さんは相続人でもありますから、相続人であるおばあちゃんとは利益相反するので、遺産分割協議においては代理人になれないんですね。だからです。
申立てをして1か月ほどで成年後見人が選任されました。
それから2週間ほどで、弊所は成年後見人となった登記簿も取得できました。
選任されることを見越して遺産分割協議書の準備もしてきました。他の相続人のご協力も頂いています。
登記簿が取得できるや、家庭裁判所への就任報告書提出と法務局への相続登記申請。
このへんはすぐに終わり、ゴールデンウイークに入る4月28日、相続登記が完了。
鼻を膨らませながら、相談者さん、住宅メーカーに連絡。
相続登記が終わりました。前に進めて頂いて大丈夫ですよ。と。
ちなみに、弊所は遺産分割協議含め初期の法的手続きが終わると辞任します。その後の財産管理や身上監護は相談者さんが1人で担うことになります。
~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ成年後見ブログ~