民法にこういう条文があります(1046条)
「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。」
いわゆる遺留分侵害請求権についての条文で、かつては遺留分減殺請求権と呼ばれたものです。
最近、公正証書遺言を基に相続登記のご依頼を受けました。同時に遺留分侵害請求権についての相談を受けました。
遺留分とは遺言があっても最低限相続人がもらえる権利のことです。法定相続分の半分と思ってもらっていいと思います。
減殺請求権から文言が変わっただけでなく、遺留分侵害額に相当する「金銭の」支払を請求すると明記されました。
依頼者さんはこの遺留分を別の相続人の方から請求されたわけですね。
これは相続人の権利ですので、請求されれば、支払うという結論になります。
相談者さんもそのお気持ちです。
とはいえ、後のトラブルにならないように合意書を交わしておくことをお勧めしました。
相続登記が完了した後で、その合意書を交わす際に同席させて頂きました。
お互い安心されたのではないでしょうか?
この遺留分についてポイントがあります。
まずは、遺言を作成する場合。
遺留分侵害請求を機に相続人間で争いにならないように、遺言の中でこの権利を行使しないでいいように、遺産の分け方を決めるということ。
とはいえ、遺産の性質によっては(不動産がほとんど等)、なかなか難しいこともありますね。請求された場合に備えて受取人を相続する人とする保険をかけるという方法もあります。
それも難しいときは、どうしてそういう不平等とみえるような分け方をしたのか、付言事項として記載しておく。メッセージですね。
にもかかわらず、請求されることもあります。
こういう場合、ついつい請求する側を悪者にしてしまう傾向があります。
でも、相続手続き、遺産分割協議をこれまで多数経験してきた立場からすれば、他の相続人側に立ってみるって大事だなって思うんですよね。
経済的に、あるいは気持ち的に余裕があるときばかりではありません。
たまたま相続のタイミングがお金が要りようのタイミングと重なることだってあると思います。
本当は兄弟にこんなこと請求したくないけど、たまたま仕事がうまくいっていないときとか、子どもにお金がかかる時期だったとか、あるんですよね。
そういうところが想像できたら、決着が見えてくるんじゃないでしょうか?
そして遺留分侵害請求権を行使された場合は、決着時に合意書を交わすということですね。
これらがポイントでしょうか?
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