代表取締役変更時の印鑑の種類

2020年8月31日

安倍総理が辞任されますね。

 

重い責任の中、お疲れ様でした。

 

 

さて、取締役(=代表取締役)1人の会社が増えています。

 

その取締役を交代するという登記のご依頼がありました。

 

前取締役は辞任します。株主総会で代表取締役を選任するタイプの会社です。

 

取締役を選任する株主総会議事録に押される印鑑はどのようなものか?という疑問。

 

このことを定めている商業登記規則を紐解くと、

 

61条6項にこうあります。

 

代表取締役の就任による変更登記の場合で、株主総会決議で代表取締役を定めた場合は、議長と出席取締役の個人実印に印鑑証明を付けなさい、と。

 

ただし、変更前の代表取締役が届出印(=法人印)を押しているときはこの限りでない、と。

 

忙しい方に印鑑証明を取ってきて下さい、とお願いするのは若干気が引けるものです。司法書士としても。どうしても必要なら仕方ないけど。

 

すると、このただし書きを使いたい。

 

そうなると、必然、この辞任した前代表取締役が法人印を株主総会議事録に押印すれば解決。個人の印鑑証明は不要となる。

 

この結論でいい。

 

いいんだけれど(法務局もそう言っているので、実際登記も完了してるので)、ふと気になる。

 

辞任した代表取締役がどうして法人印を押せるんだろう?

 

それは権利義務代表取締役だからだよ、と説明してくれた司法書士がいた。

 

権利義務というのは、次の代表取締役が選任されるまでは、前の代表取締役が代表取締役としての権利も義務も持っているということ。

 

なるほど、と思うが、この株主総会議事録を作成している段階で、既に新しい代表取締役は正式に選任されている以上、前代表取締役に権利義務もあるのだろうか??

 

すっきり説明できる方がいらっしゃったら、こっそり教えて下さい。

 

商業登記と印鑑の種類は司法書士の永遠のテーマだ(大げさ)。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ会社登記ブログ~

有名司法書士のブログだから間違いない

2020年7月22日

司法書士は登記の専門家である。少なくとも依頼者さんの前ではそういう顔をする。

 

が、何でも頭に入っている訳ではなく、自信がなければ調べる。

 

たぶん、多くの司法書士は、ネットに向かう。

 

で、大抵は他の司法書士のブログに行きつく。

 

その内容を参考に、おそらくそこに記載されている条文・書籍等で裏をとる。

 

 

 

相談者さんとの面談が終わり、デスクに戻ると、うちの司法書士君が何やら深刻な顔をして電話をしている。

 

漏れてくる内容から法務局からのようだ。

 

そこは余事記載で・・・・云々  同意書には実印が押されていて印鑑証明もついているから問題ない・・・・云々

 

ちょっと、相談してみます。ガチャと受話器を置く。

 

司法書士君が私の方を向いて、「申請している〇〇財団の代表理事変更登記で理事会議事録に議事録作成者の実印を押さないとだめじゃない?と言ってるんですが」

 

詳しく言うと、現在のコロナの影響もあって、理事会やら社員総会やらを書面で決議せざるを得ないケースが多くなっている。

 

こういうのをみなし決議っていうんですが、法律もそれを認めていて、理事会決議であれば、理事全員の同意があればOKです。

 

代表理事改選がある場合(重任ではない)の理事会議事録には、出席理事の実印が必要で印鑑証明もつけていくというのが原則です(規則61条6項)。

 

しかし、出席とあるように、現実に理事会を開く場合を予定していて、今回のようなみなし決議には当てはまらない。

 

理事全員が書面決議の同意書に実印で押印して、印鑑証明をつけていれば理事会議事録の印鑑に制限はない。

 

つまり、司法書士君の主張は正解である。

 

が、法務局は、そのことが書かれている書籍やら先例が欲しいと言っているそうである。

 

で、

 

司法書士君、ネットに向かう。やっぱり。

 

ハハハハハ

 

笑い出す、司法書士君。

 

「こんなブログの記事が出てきました」と、見てください的にパソコンを私の方に傾けてくる。

 

覗き込むと、

 

「代表理事をみなし決議で選任」というタイトルのブログ記事。

 

書いているのは、金沢市の司法書士が繋ぐ路アメブロ

 

・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

アハハハハハハ

 

「法務局に言ってやったらいいよ。有名司法書士のブログに書かれていましたから間違いないですって」

 

そう、

 

金沢市の司法書士が繋ぐ路アメブロは、司法書士法人カルペ・ディエムの前身である路法務司法書士時代の私のブログである。

 

という訳で、ブログの記事をコピーして、私自身が法務局に説明に行きました。

 

もちろん、ブログコピーの他に、他の書籍のコピーも持って。

 

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ法人登記ブログ~

 

 

 

 

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