NHKの受信料の請求に対して、時効消滅を主張してみた。
NHKの受信料の請求が来たんですが、払いたくないので、という相談を受けたわけではありません。
債務、つまり支払義務についても相続の対象になると聞いたことがあるのではないでしょうか?
NHKの受信料も支払義務ですから、やはり相続の対象なんですね。
で、請求書を見てみると、被相続人さんは10年以上も前から払ってなかったようなんです。
しかも、この相続人というのが、当法人が受任している成年後見の被後見人さん。
成年後見人には、被後見人さんの利益になるように行動するという善管注意義務がありますからね。
だから、時効を主張してみようと思ったんです。
根拠は、平成26年9月5日に出た最高裁判決。
NHKの受信料も民法169条の規定する定期給付債権にあたるので、5年の消滅時効が適用されるというもの。
結果は、驚きでした。
亡くなる数年前のある日、数か月分だけ支払ったそうです。
NHKが集金した時間、金額まで記録に残っていました。
消滅時効というのは、時効期間(今回は5年)が過ぎると、自動的に債務が消えるというものではありません。
債務者が消滅時効を援用(主張)しないと、存続します。
存続している以上、債権者(今回はNHK)はいつまでも請求する権利があります。
で、時効期間を過ぎた後でも、債務者が僅かでも支払うと、その債務の存在を認めたことになり、消滅時効を援用することはできなくなります。
つまり、被相続人さんが、5年を過ぎたある日、ほんの僅かな期間分でしたが、受信料を支払ったことにより、債務の存在を認めてしまったんですね。
これにより、再度5年が経つまで、債権者は堂々と請求できるわけです。全額。
成年後見人は被後見人に対して善管注意義務を負いながら、財産を管理しています。
したがって、支払う義務のあるものについても、遅滞なく支払っていくことになります。
この記事を書くことには、若干の呵責があります。
そうか、NHKの受信料にも時効が適用されるんだな、よし払うのよそうと思ってしまう方もいるかもしれません。
それを応援したいとは思っていません。
私は、NHKの受信料を払うべきだと思っていますので。
大人になり、昔よりかなりシュールな番組も増えたNHK、結構見ちゃいますからね。
居留守使う労力を考えると、費用対効果が合っていない気もしますしね。
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