「買主さんが、司法書士の先生から権利証をもらってないって仰ってるんですけど」
・・・・・・・・・
これが朝一の電話。
とある銀行さんから。
胃のどこかがチクッとする。
司法書士としてはなかなかな内容である。
もう少し詳しく話をしよう。
半年ほど前のとある不動産売買登記を当職が行う。
相続登記や不動産売買登記等の所有権移転登記においては、登記完了後、登記識別情報という所謂権利証が発行され、司法書士が受け取る(再発行不可)。
当然ながら、最も大事な書類である。
これを本人に返して初めて仕事は終わる。
それを本人に返していないとなると、大問題である。
近々に新たな登記が予定されていてそれまで預かるという司法書士事務所も少なくないと思われるが、うちはそれをしていない。
大問題という意識があるので、返していないはずがない。
司法書士には終わった仕事でも書類の保存義務があるので当時のファイルを出してきて、本人さんに連絡。
僕らには当たり前のものでも、登記識別情報の形態って一般の方には馴染みがない。
○月○日にレターパック(書留)で送った、緑のもっともらしい封筒(うちで用意)に入った、緑のシールが貼られたものです。もう一度ご確認下さい。と。
2時間程の後、本人さんからの連絡
「すみません、ありました。しっかりした封筒に入ったやつですよね」
かなり安心した明るい声。
たぶん、それ以上に安心した声で、
「はい、それです。よかったです」と、当職。
権利証(登記識別情報)をお返しする際、当職はこのように言います。
「緑のシールをはがすと、アルファベットと数字で12桁の暗号が書かれています。次に売却したり、担保にしてローンを組みたいというときまでは必要のないものですから、封をしたまま大切に保管して下さいね」と。
今回、新たに担保にローンを組むときが来たんですね。
銀行にこれでいいと思って持って行かれた書類の中に登記識別情報が含まれていなかった。たぶん、銀行さんは今回の抵当権設定登記のために司法書士が本人に返さず、預かっていると思っての電話だったんでしょうね。
あれっ?
抵当権設定登記のご依頼受けてませんけど。。。銀行さん。
登記識別情報の封筒に事務所名と電話番号が書かれている理由は・・・・・・
まあ、見つかってよかった。よかった。
では、どうしても登記識別情報が見つからなかったら?
その場合、事前通知や本人確認情報の作成、公証人役場を使った方法がありますが、本人確認情報作成を採用するでしょうね。
別件でしたが、午後からはこの本人確認情報作成のための資料預かり。
写真付きの運転免許証だと1通、健康保険証・年金手帳なんかだと2通。やっぱり運転免許証って都合のいい身分証明書ですよね。高齢者の返納が求められていますが。
ただ、この本人確認情報作成費用を基本どの司法書士も取るので、権利証(登記識別情報)は大切に保管して下さいね。
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