被補助人が亡くなった

2023年8月29日

日曜日の夕方

 

スマホが着信。画面に馴染みの施設名。

 

イヤな予感。

 

「〇〇さんが誤嚥で心肺停止です。救急隊員が近くにいます。搬送先が決まったらまた連絡します」と。

 

その電話を受け取ったのは金沢から離れた場所。急いでも1時間半はかかるか?

 

しばらくして、

 

「△△病院に搬送しましたが、死亡が確認されました」と。

 

急ぎ、△△病院へ。

 

途中、△△病院から「ご遺体はいつ引き取りに来てくれるのか?」と催促の電話。

 

〇〇さんは、先に奥様、子を亡くしており、補助の申立てはいわゆる市長申立て。市長申立ての場合、本人に財産がない場合が多い。〇〇さんも年金でやっとの生活を送っていた。末期がんを患っており、自宅で一人暮らしが難しくなっていた。そんなとき、自宅敷地を買いたいという隣人が現れ、その売買代金で施設に入る目途がついた。自宅は修繕不可能なくらい傷んでおり、市も解体を希望していた。

 

当職が選任されたのはかかる事情からで、不動産売買、施設入所の手続きを開始。

 

いずれ売買代金の残金も無くなることは明らかで、生活保護申請も予定していた。

 

定期的に面会する中で、一番気にしていたのは、先に亡くなった妻と子の納骨である。随分前に亡くなっていたのだが、遺骨は自宅から施設の部屋に持ってきていた。テーブルの上には骨壺と位牌が並んでいた。

 

まだ、残金に余裕があったので、納骨をしたいという〇〇さんの希望に沿って、面会にも来てくれている姪っ子さんと相談して、東別院さんに無事納骨を済ませることができた。

 

それから1か月も経たず、その日がきた。

 

死後事務を姪っ子さんがするのはかなり難しいので、そのお手伝いをする。

 

残金はどんどん減っていく。

 

でも、不思議なほど、きれいに支払うことができている。

 

この言葉が正しいかは分からないが、

 

「立つ鳥跡を濁さず」といったところか。

 

ご家族の納骨にホッとされたのかな?

 

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ成年後見ブログ~

見守り契約期間中

2023年7月25日

今日もそろそろ帰ろうかな?と思った18時半。

 

スマホの着信。

 

画面には弊所と任意後見契約を結んでいる方のお名前。

 

電話に出ると、「今日まで旅行に行ってて、ホテルに家の鍵を忘れてしまって。今の家の前にいるんだけど、鍵屋さんを紹介してもらえないかと」と申し訳なさそうな声。

 

電話を切って、ご自宅最寄りの鍵屋さんを検索。

 

すぐに問い合わせると、40分で行けるとのこと。ただし、本人さんの運転免許証等の顔写真付きの身分証明書が必要と。

 

本人さんに連絡すると、運転免許証は家の中で、顔写真付きの身分証明書は手元にないとのこと。

 

鍵屋さんに連絡すると、私の身分証明書でもいいと。

 

弊所から本人さんのお家まで車で30分ほど。

 

子どもにご飯食べさせたいけど、と思いつつも、当然困ってらっしゃるので、私も行きますと。

 

家の前には、ほぼ同時に着いた鍵屋さん。私の運転免許証を見せて早速取り掛かってもらう。本人さんは不安そう。

 

そこはプロ。

 

開けやすそうそうな窓をチョイスして、工具を差し込んでいく。

 

ものの5分で開錠。

 

安堵した本人さんからお土産をもらって帰路。

 

いい仕事したな、と満足。何もしてないけど、したのは鍵屋さんだけど。

 

任意後見契約とは、判断能力が十分あるうちに、将来自身が判断能力が低下したときに後見人になってもらう人を選んでおく契約。

 

通常、判断能力の低下を見定めるために、それ以前に見守り契約を結んでおいて、定期的に連絡を取り合います。

 

本人さんとは、この見守り期間中。

 

契約するときも、「先生、私ね、安心を買うのよ。旅行が楽しみだから、もしものときに助けてもらいたくって」と。

 

司法書士の仕事もいろいろありますね。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ任意後見契約ブログ~

 

 

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