司法書士がチャットGPTを使ってみた

2023年4月20日

先日設立登記をさせて頂いた一般社団法人さんの総務を担当されている方から連絡があった。

 

社員さんたちに出資金の支払いをお願いする書面を作成したいんですが、何て書いたらいいのか、困ってしまって、というご相談。

 

この書面は、登記書類や裁判所申立書類でもなければ、契約書でもない。つまり、司法書士が通常業務で作成する書類ではない。

 

でも、慣れない担当者さんからすれば、設立登記をお願いした司法書士さんなら分かるんじゃないか?という思いで連絡してきたんでしょう。

 

こういうことって、実はよくあります。

 

社長さんって、事務員さんに結構無茶ぶりすることってありますよね。登記業務を調べさせて司法書士を使わずに申請させるような。

 

事務員は何でもするのが仕事だろう?そんなの調べれば分かるだろう?ってな感じで。

 

でも、ちょっと違う。違うというか、もったいない。

 

事務員さんの時間って、給料が発生していますよね。専門でもない事務を調べたりしてああでもないこうでもないと時間をかけていればそれだけコストがかかっているということです。時間だけでなく、ストレスでもあります。これで正解なのかな?って事務員さんはヒヤヒヤもやもやもんだと思うんですよね。

 

それだったら、専門家に頼んでそっちに報酬を払い、事務員さんには本来の業務をやってもらう方がコスト的にもいいと思うんですよね。

 

まあ、今回は司法書士業務でもないので報酬は頂きませんが、弊所に連絡してきた担当者さんのことを思うと、力になってあげたい。

 

といっても、私もすんなり文言がでてくる文章でもない。こんな感じというイメージはすぐに湧きますが。

 

で、

 

あれ

 

使ってみたかったんですよね。

 

ここ最近巷でよく聞く。

 

そう、チャットGPT。

 

提供会社のHPに入って、ログイン。

 

「一般社団法人の出資金を依頼する文章を作成する」みたいなことを入力。

 

ものの数秒で、文章が出てきた。ちょっと言葉を変えていくつか作成してもらった。

 

いいね、これ。

 

出来上がったのはいわばひな型。

 

そこに固有名詞や、数字を加筆すれば、私が作りたかった文章が完成した。

 

つまり、8割をチャットGPTが数秒で作成して、2割を私が数分で作成する感じ。

 

「どんな文章を作りたいかのイメージがあって、出てきた文章の正しさを判断できる」ということであればとても使い勝手がいいなと思いました。

 

ああ、

 

こうやって、司法書士の仕事って無くなっていくんだな。

 

司法書士の仕事って書類を作ることが主だもん。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

とは、思いませんでした。

 

今までだってひな型はあったわけです。しかし、それに手を加えても正確かを判断することはできないから私たちの仕事があったんです。

 

人の権利を守るためには正確でなければならないのです。

 

でも、こうやって答えを出してくれるんだったら、相談だって司法書士にしなくたって、チャットGPTに相談すればよくない?

 

なるほど、そういうときもあると思います。

 

先日、仲のいい4姉妹の方が共有で持っている不動産を今後どうしたらいいか?という相談を受けました。

 

持分の売買、贈与、信託、遺言、いろいろその長短を説明しました。姉妹が選んだのは遺言でした。

 

その後、おひとりが自身の身の上のことを話し始めました。気持ちがいっぱいになって涙が溢れてきました。私は頷きながら聞いていました。将来おとずれるであろうことのアドバイスをちょっとだけ加えました。

 

今まで不安に思ってきたことを話せて、ちょっとすっきりしました、と。

 

相談には、自身の口で言葉にすることが大切だったりします。そして、ときに涙がストレスを軽減させてくれるのです。

 

きっと、チャットGPTに勝つのはこういうところかなって何となく思った次第です。

 

もちろん、否定はしません。

 

仲良く、上手に使っていきたいなって思います。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐチャットGPTブログ~

サイン証明の有効期限

2023年4月18日

商業登記において印鑑証明書というのは結構悩みどころ。

 

先日、中国在住の中国人の方が発起人になる会社設立登記が完了しました。

 

経営ビザを取得申請代理している行政書士先生からのご紹介です。

 

株式会社(取締役会非設置)設立にあたって、印鑑証明書が必要な場面は、発起人による定款認証時と取締役の就任承諾書と代表取締役の印鑑届だ。

 

中国在住なので印鑑証明書は取れません。

 

中国の場合は、中国の公証令で、印鑑を公証してもらうことができる。そこには中国の住所も記載でき、日本の印鑑証明書と同じ扱いとすることができる。

 

したがって、この公証令で、無事、定款認証を終えることができた。

 

ここで、思いがけないことが発生。

 

発起人による資本金払込(中国と日本の間ではちょっとあるようだ)に手間取り、公証令を取得してから3か月が経ってしまった、と行政書士先生から連絡。

 

「登記において、この公証令に印鑑証明書同様3か月の制限はありますか?」と。

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

直感的には制限ありだろう、と思う。

 

他の司法書士のブログを覗いてみると、いけそうなようなことも書かれていたり。

 

明確な書籍もなかったので、法務局に照会。

 

結論は、3か月以内、とのこと。少なくとも金沢法務局では。

 

改めて中国で取り直している暇はない、来日予定が迫っている、と。なら次善策。

 

来日中に日本の公証役場に行ってもらう。

 

いわゆる、私署証書の認証である。印鑑届と就任承諾書を用意し、公証人の面前でサインしてもらうのである。住所が記載されている公的文書(パスポートに記載されていればそれでよし)を持参。

 

公証人の認証付の印鑑届と就任承諾書を印鑑証明書付の印鑑届と就任承諾書の代用とする。

 

ちなみに、就任承諾書に付ける印鑑証明書に3か月の制限はありません。つまり、3か月を超えた公証令でもいいってことだよね。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ会社設立ブログ~

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