相続放棄と墓地と民法第897条による承継

2018年6月26日

相続放棄のご相談を受けた。

 

その中で、こういう質問を受けた。

 

相続放棄したらお墓はどうなるんですか?

 

この質問はよくあって、お墓は仏壇と同じように祭祀財産といって、相続財産とは別扱いなんです。つまり、相続放棄したからといってお墓を引き継ぐことができます。

 

こう回答するんです。いつも。

 

ただ、ふと疑問に思った。

 

登記簿を見ると「墓地」を地目とした不動産がある。つまりお墓の敷地。

 

相続放棄した人が、「相続」を原因として、墓地の所有権移転登記をするのか?

 

ここで書籍にあたる。

 

「民法第897条による承継」を原因として所有権移転登記が可能。この結論でよい。

 

しかし、我々は司法書士である。

 

どうやって登記するの?という疑問がわく。

 

墓地を承継するのは、祭祀承継者であって、相続人である必要はない。そして祭祀承継者は被相続人による指名等で決めるのだが(遺言が多い)、指名がない場合。

 

争いがなければ、「実質、相続人で決める」

 

この全相続人が義務者となって、祭祀承継者と権利者として共同申請で登記することになる。

 

そしてこの相続人は、相続放棄者も含まれる。だって、墓地は相続財産じゃないんだから。という結論に落ち着く。

 

まとめます。

 

相続放棄をしても墓地を承継することは可能で、「民法897条による承継」という原因で登記もできる。

 

手続きは司法書士にお任せ。

 

 

※記事に関連したサービス内容

相続登記

 

LINEと17時11分の攻防

2018年6月25日

LINEは恋愛の仕方を変えた。たぶん。

 

スマホの画面をひっきりなしにみて、あのグリーンのアイコンに赤丸がつかないかと一喜一憂する人も多いんじゃないかな?

 

既読にならないと、一喜一憂する人も。

 

そしてLINEは仕事の仕方も変えた。うちでもスタッフによるグループLINEを作って、ダイレクトに情報共有している。

 

 

 

本日、17時7分、日本政策金融公庫の抵当権設定登記が完了した。法務局の終了時間は17時15分である。

 

この案件、とある会社さんが、うちのホームページをご覧になって先週6月20日水曜日の午後にいらっしゃった。

 

直ぐに登記申請して欲しい、と。

 

聴くと、日本政策金融公庫は登記が完了して3営業日で融資が実行されるとのこと。今月中、つまり6月29日までに実行してもらわないと困るというもの。

 

ということは、6月26日がタイムリミットか。

 

持ってきて下さった書類を見ると、何故か日本政策金融公庫の委任状がない。

 

面談中、その場で、公庫に電話。事情を説明して速達で直接当事務所に郵送するよう依頼。お隣富山県から。

 

うちの敏腕司法書士くんが登記の申請準備に取り掛かる。その日のうちに、委任状が届けば、ワンクリックしてオンライン申請できるところまで準備。

 

翌、21日、お昼あたりからそわそわ。結局、速達が届いたのは、16時頃。

 

敏腕司法書士くん、直ぐにクリック。添付書類を持って法務局に奔るパートナー司法書士。完了予定は25日、つまり本日。

 

翌22日に完了してもおかしくはないと思ったが、完了せず。

 

本日25日。登記の完了はメールで届く。15時を過ぎてもメールは届かず。

 

しれっと法務局に電話してみる。「今日完了予定みたいなんですが?」と。本日中には完了する予定です」という回答。「頑張って下さい」と電話を切る。

 

16時半、完了メールは届かず。居ても立っても居られなくなり、法務局へ。完了メールが届けば、直ぐにグループLINEにメッセージを!

 

法務局のベンチで16時55分まで待つ。グリーンのアイコンに赤丸がつくのを。

 

終われーと、あのテレビの向こうのサッカー選手にゴールを念じるようなものだ。

 

もう待てん!ということで、カウンターへ。

 

「今日完了予定なんですが、まだですか?」と、笑顔で。

 

パソコンを操作して、状況を確認して、担当に伝えてくれる職員さん。「処理します」という確答を得る。「ありがとうございます」と大袈裟な笑顔で。

 

日本政策金融公庫が必要としているのは、完了後に発行される登記識別情報と、登記簿。登記簿取得は、登記が完了した後(あくまでも後)別のオンライン申請が必要。

 

事務所で、やはり申請までのワンクリックを待つパートナー司法書士。

 

赤丸点灯。完了メールが事務所に到達したらしい。17時7分。

 

登記簿請求しましたのメッセージ。

 

同時にカウンターの職員さんが、私の名前を呼んでくれる。

 

17時11分 全てを回収。

 

ほぼ同時に依頼者さんに完了したことを連絡する敏腕司法書士くん。

 

17時25分、当職が事務所に戻る。17時45分、依頼者さんが事務所に書類を取りに来る。

 

とても感謝される。たぶん、私も自慢げだったろう。

 

司法書士の登記業務というのはとても地味な仕事である。何をしているのか?一般の方には分かりづらい仕事である。

 

だからこそ、より喜びを感じるのだ。お客さんの期待に応えることに。

 

そしてチーム一丸となって実現できたことに、お客さんには分からないけど、よっしゃーという小さいガッツポーズを握るのである。

 

いい仕事したね。俺たち。

 

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ不動産登記ブログ~

 

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