夫婦が公正証書遺言を作る理由

2017年3月7日

3月というのに、本気モードの雪。

 

朝一、公正証書遺言の相談者さんのご自宅へ。

 

相談者さんは、お子さんがいらっしゃらない夫婦の奥様。

 

内容はシンプルに全ての財産をご主人に相続させたい、というもの。

 

まずは、どうして遺言を残されたいのか?というお気持ちをお聞かせ頂く。

 

やはり、自身が亡くなった後に、ご主人がするであろう相続手続きを少しでも楽にしてあげたいというお気持ち。

 

夫婦といえど、全ての財産の所在を把握しているわけではありませんからね。

 

さらに、お子さんがいらっしゃらない場合、自身が亡くなると、相続人は配偶者と兄弟姉妹(両親がご存命であれば両親)。

 

配偶者と兄弟姉妹が遺産分割の話し合いをしないといけない。

 

想像してみて下さい。配偶者とすれば、結構たいへんですよ。

 

しかも、兄弟姉妹には遺留分(遺言があっても最低限相続できる持分)がないので、遺言があれば配偶者は安心です。

 

 

 

どういう財産があるのか?

 

全ての財産を相続させるわけですから、具体的な記載をする必要はないようにも思えますが、

 

先のお気持ちからすれば、ご主人にそのことを知らせるという意味が出てきます。

 

また、公正証書遺言の場合、財産の額と分ける人数によって、公証人役場に支払う報酬額が決まるのである。

 

亡くなった後の供養のこと、遺言執行者(遺言を実現する代理人)をどなたにすか?等々の話がつづく。

 

 

遺言のご相談は1度で終わるわけではない。何度かの打ち合わせが続くと思って頂いた方がいいです。

 

今回の相談者さんもそうでしたが、メディアによる終活の情報から、自分も綺麗に始末を付けていきたいと思われたようですが、メディアはどうしても一般論になりがち。

 

セミナーであっても、大多数に向けてですから、どうしても一般論寄り。

 

しかし、遺言はケースバイケースで、謂わば、その方に合ったオーダーメイドである。

 

テレビで言っていたように、こうすればいいよねと思っていたとしても、司法書士の質問やら回答やらで、考えないといけないことが出てくるものです。

 

私から出した宿題はこう。

 

もし、ご主人が先に亡くなられた場合は、どうしたいのか?

 

遺言に温かみを添えるための付言事項(メッセージ部分)をご自身で考えて頂く。

 

葬儀の方法等々、もしかしたら遺言とは分けて、手紙やエンディングノートの類でカバーするといいかもしれないというようなこともアドバイスとして加える。

 

付言事項はプライベートな部分でもあるので、手紙やエンディングノートに書くと薦める方もいます。

 

これら宿題ができたら、また呼んで下さいとご自宅を跡に。

 

そうそう、最後にどうしたもしたかった質問を1つ。

 

「どうしてうちの事務所を知ったんですか?」

 

「電話帳を上から何軒かかけたんです。そしたら、1番対応が優しかったから」

 

「タクシーで事務所に行くと言うと、来てくれるとも仰って下さったし」

 

(・・・さすが、うちのパートナー司法書士である)

Hand and puzzle - concept background

事務所の形を完成させてくれる。

 

※記事に関連したサービス内容

公正証書遺言作成支援

 

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相続財産管理人と特別縁故者

2017年3月6日

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先週末、当職が受任している相続財産管理人の仕事に一区切り。

 

元々、成年後見人として受任していましたが、被後見人が亡くなり、相続人がいなかったために、事情を1番理解しているということで、横滑りのように就任。

 

相続財産管理人というのは、相続人のいない方の財産を管理する仕事で、返済すべきところがあれば債権者に払い、それでもプラスの財産が残れば、国に帰属させるまで管理します。

 

昨年の1月に就任しました。

 

まずは、裁判所に相続財産の報告。

 

債権者いませんか?名乗り出て下さいという公告。3か月。

 

続いて、裁判所が相続人いませんか?名乗り出て下さいという公告。6か月。

 

不思議だと思いませんか?

 

相続人がいないことを戸籍で確認して、相続財産管理人の選任を申立てたのに、また6か月も捜索するんですから。

 

具体的な場面があまり想定できません。

 

この公告期間が先週末完了したのである。

 

続いて、特別縁故者いませんか?名乗り出て下さいという期間。これから3か月。

 

特別縁故者というのは、相続人ではないけど、亡くなった方と生前特別な関係があった人のこと。

 

裁判所の審判の上、認められると遺産を相続することができます。

 

全部相続できるとは限りません。

 

誰が特別縁故者に該当するか?を1番知っているのは、相続財産管理人のような気がします。

 

1年以上のお付き合いですから。

 

成年後見人から横滑りのケースなら尚更です。

 

先の、相続人捜索の公告期間が過ぎたのを知っているのも相続財産管理人です。

 

ならば、相続財産管理人がこの特別縁故者の審判の申立にあたってお手伝いができるといいと思いませんか?

 

今回であれば、当職。

 

当職は司法書士なので、弁護士さんと違って代理人にはなれませんが、書類を作成することでお手伝いができるように思えます。

 

が、やりませんでした。

 

判例で、特別縁故者の申立代理人と相続財産管理人とは利益相反の関係にあるという判断がなされているからです。

 

相続財産管理人をやってみての感想ですが、いったいどこが利益相反しているのだろう?って思いますがね。

 

特別縁故者と決めるのは裁判官であって、相続財産管理人ではありませんからね。

 

とは言え、今回もちゃんと、弁護士先生から連絡がありました。

 

特別縁故者の審判申立があったということです。

 

もう少し、相続財産管理人の仕事が続きます。

 

節目でもあったので、昨日の日曜日、大量の書類の整理をしました。何せ、成年後見人からの案件です。

 

念のため、とほぼほぼ書類を残してきたために大変なことになってました。

 

パートナー司法書士が日曜日にも係らず、不動産売買登記の本人確認に行ってくれたので、何とか書類整理が出来て、すっきりしています。

 

次あるかは分かりませんが、教科書でしか知らなかったことが体験できて良かったと思っています。

 

 

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