サイン証明の有効期限

2023年4月18日

商業登記において印鑑証明書というのは結構悩みどころ。

 

先日、中国在住の中国人の方が発起人になる会社設立登記が完了しました。

 

経営ビザを取得申請代理している行政書士先生からのご紹介です。

 

株式会社(取締役会非設置)設立にあたって、印鑑証明書が必要な場面は、発起人による定款認証時と取締役の就任承諾書と代表取締役の印鑑届だ。

 

中国在住なので印鑑証明書は取れません。

 

中国の場合は、中国の公証令で、印鑑を公証してもらうことができる。そこには中国の住所も記載でき、日本の印鑑証明書と同じ扱いとすることができる。

 

したがって、この公証令で、無事、定款認証を終えることができた。

 

ここで、思いがけないことが発生。

 

発起人による資本金払込(中国と日本の間ではちょっとあるようだ)に手間取り、公証令を取得してから3か月が経ってしまった、と行政書士先生から連絡。

 

「登記において、この公証令に印鑑証明書同様3か月の制限はありますか?」と。

 

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・・・・・・・・・

 

直感的には制限ありだろう、と思う。

 

他の司法書士のブログを覗いてみると、いけそうなようなことも書かれていたり。

 

明確な書籍もなかったので、法務局に照会。

 

結論は、3か月以内、とのこと。少なくとも金沢法務局では。

 

改めて中国で取り直している暇はない、来日予定が迫っている、と。なら次善策。

 

来日中に日本の公証役場に行ってもらう。

 

いわゆる、私署証書の認証である。印鑑届と就任承諾書を用意し、公証人の面前でサインしてもらうのである。住所が記載されている公的文書(パスポートに記載されていればそれでよし)を持参。

 

公証人の認証付の印鑑届と就任承諾書を印鑑証明書付の印鑑届と就任承諾書の代用とする。

 

ちなみに、就任承諾書に付ける印鑑証明書に3か月の制限はありません。つまり、3か月を超えた公証令でもいいってことだよね。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ会社設立ブログ~

発起人以外の氏名が記載された通帳(払込を証する書面)

2023年4月14日

3月4月は法人設立のご依頼が続いたのですが、いくつかレアなケースがあったのでここでご紹介しよう。ていうか、備忘録。

 

株式会社の設立での一幕。

 

株式会社の設立に際して、資本金の入金を発起人(=株主)にお願いする。

 

かつて、私が事務所を開いた頃、10数年前は、ガチガチに考えていて、入金にあたって摘要欄にご自身の名前が出るようにお願いしていました。

 

発起人である私が資本金を入金したんですよ、と一目で分かるように。

 

今回、発起人ABがいて、そのうちのAの個人口座に資本金を振り込みます。

 

資本金を振り込んで記帳した後の通帳のコピーを払込みを証する書面として使用します。

 

つまり、前なら摘要欄にAと出てくるようにしていました。

 

それが、摘要欄が空白でも構わないというやり方をとるようになって久しい。

 

それが今回、この通帳のコピーを見るとCという方が出てきました。

 

Cは発起人でもなければ、取締役でもありません。

 

話を聴くと、Cは振込の協力者だそうで、いわば使者ということ。

 

さて、これでも登記に使えるのだろうか? Cという名前が出てこないようにやり直してもらうという方法もあったんですが、書籍をあたってみる。

 

すると、商業登記ハンドブックにこうあった。

 

「払込人は、各発起人であるが、発起人を使者としてこれをに交付して入金してもらうことや、使者を通じて振込入金することもあり得るため、預金通帳に各発起人の氏名が表示される必要はない」と。

 

通帳の摘要欄にAが出てこなくていいのは、このことから。

 

このように使者を使うことを予定している以上、使者Cの氏名が出てきても構わないと読める。

 

念のため、法務局に照会する。

 

Cの氏名が記載された通帳でも、払込を証する書面として大丈夫?と。根拠はこの書籍の記載。結果は、構わない、と。

 

ということで、特に依頼者さんにやり直しを求めず、登記申請。一応、Cは使者ですと、添え書きしておいたけど。

 

無事、設立完了。

 

思いがけず、経験値があがるということは、この仕事をしているとたまにある。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ法人設立ブログ~

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