民法改正に伴う免責的債務引受登記

2022年12月1日

とある金融機関さんから、相続に伴う債務者変更登記のご依頼がきた。

 

預かってきた債務者変更契約書に従って、明日申請して欲しいというもの。

 

契約書を眺める。

 

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違和感。

 

違和感の理由は?

 

おっ⁉

 

この契約書、民法改正前のひな型で作られている。

 

これだと、契約成立していない。成立していないから当然登記もできない。

 

担当者さんに電話で説明するのも難しいので、うちの司法書士くんが説明に行く。

 

説明はこうだ。

 

2年前、改正された民法が施行された。

 

その中に債務引受というこれまで明文がなかったものが、はっきりと条文化された。具体的には472条。関連条文として472条の4。

 

債権者(抵当権者)甲、旧債務者A、債務を引き受けた新債務者B、担保提供者(抵当権設定者)乙が登場人物。

 

簡単に言うと、契約なんだから、登場人物みんなの合意(承諾)が必要だよということ。これらが契約書に盛り込まれていないといけない。

 

担当者さんは困ったらしい。

 

このひな型は、全国で使っているので、一支店では直せないとのこと。

 

弊所で改めて作ってくれないか?となった。

 

作るのは訳ないですが、これからのことを考えると、全国で使っているものを刷新しないと、今後も同じことが起きるよ。

 

相続に伴う、免責的債務引受って、決してレアなケースではないですからね。

アルファベット記載の印鑑証明書で足りる?(中国人編)

2022年4月28日

スピーキング イングリッシュ?

 

ノー ソーリー

 

依頼者である中国の方とのやり取り。少し落ち込む。。

 

日本語ペラペラの中国人従業員さんが通訳して、打ち合わせは進む。

 

近々ある決済の準備。

 

売主さんは中国の方。ここでは「毛沢東」としておきます。

 

登記簿の権利者の欄を見ると、日本の住所と「毛沢東」が記載されています。

 

日本に住所を置いているので住民票、印鑑登録していれば印鑑証明書も取得できるわけです。

 

不動産売買の売主は権利証の他に印鑑証明書が必要になります。

 

登記簿上の住所・氏名と印鑑証明書の住所・氏名で同一人物と把握するわけです。

 

そしてこの人が実印を押しているので、本人の意思が強く推定されるということなんですね。

 

で、

 

印鑑証明書を見ると「Mao Tse-Tung」としか書かれておらず、毛沢東の記載がないんですね。

 

ここで疑問。

 

登記簿上の「毛沢東」さんの印鑑証明書として「Mao Tse-Tung」としか書かれていない印鑑証明書で足りるのか?

 

同一人物と言えると疎明できているのかな?

 

「Mou  Takuto」と、日本人なら読むであろう記載もされません。

 

考えたのは、やはり何か資料を足さないといけないんじゃないか?

 

例えば、印鑑証明書をとった後で住所を移してしまったという場合、印鑑証明書に住民票をプラスするとOKということになっています。それに近いなって思ったわけです。

 

でね、考えたわけです。

 

この方がこの不動産を購入した際には、登記簿上の住所・「毛沢東」と書かれた住民票があったはずだ。だから登記できたんだろうって。

 

そのときの住民票とれるの?と自治体に確認したらとれるって。へえ。

 

それでいけるんじゃないかな?って思った訳。

 

時間もなかったので、法務局にも照会しておきました。

 

法務局の回答は自治体の回答よりちょっとあとで、しかも拍子抜けない回答。

 

委任状に「毛沢東」と「Mao Tse-Tung」が併記されていたらそれでいいよ。と。

 

えっ、そうなん。

 

最初こんなことも考えていました。

 

「Mao Tse-Tung」の印鑑証明書に「毛沢東」と記載してもらう。そのためには外国人の在留カードに「毛沢東」と記載してもらう。その在留カードを使って印鑑証明書に記載してもらう。この流れは、この分野に強い行政書士さんのアドバイス。動く準備もしてくれてました。

 

これらは不要になったわけです。依頼者さんの負担も軽減できてよかった。

 

勉強になりましたね。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ不動産売買ブログ~

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