解散会社の抵当権抹消登記

2020年5月22日

では、昨日のつづき。

 

不動産を売りたいのに、その登記簿を見ると抵当権がついている。

 

このままでは現実には売れない。

 

その抵当権者が解散(清算結了)した会社だった場合の話。

 

会社登記の話になるが、会社が解散する場合、清算人を選任しないといけない。通常は代表取締役がそのまま清算人となる。

 

で、抵当権を抹消する場合、この清算人と連絡がつくかどうかがポイント。

 

以前、連絡がつかないケースの登記をしたことがある。

 

方法は、管轄裁判所で清算人を選任してもらう。この登記のためにだけ選ばれるスポット清算人。この人にも報酬を払わないといけないので、そこそこ費用がかかる。

 

その申立ても司法書士の業務。

 

なので、今回もこれかな、と思っていた。依頼者さんかわいそうだなって思っていた。

 

思っていた、というから結論は推量できるでしょう?

 

そう、清算人だった人と連絡がついたのだ。

 

ダメ元で、郵便を送ってみた。

 

すると、清算人だった社長さんから電話があったのだ。

 

書類を送ってくれたら印鑑押すよ、と。

 

そうなんです。司法書士が作成した解除証書に清算人だった方が実印で押印して印鑑証明を付けてくれればそれだけで抹消できるんです。

 

これは、抵当権の登記済証(登記識別情報)がないケースで、いわゆる事前通知という方法なんですが。

 

清算人だった方のご協力が得られれば簡単に消せるんです。古い抵当権も。

 

実際、押印書類を郵送すると、すぐに返送してくださいました。

 

添え書きに、ご迷惑をおかけしてすみませんという言葉と一緒に。

 

会社をたたむ(清算する)ときには、やむにやまれぬ事情があったそうです。

 

それから20年近くたった今でも、ご迷惑をおかけした方がいるんだという思いを持ち続けていることに、頭が下がります。

 

会社を経営するってそういうことなんだなって思いますね。自身だけで経営はできない。それを支えてくれている従業員、取引先、お客さん。

 

もし会社に何かあったら、この人たちに迷惑をおかけしてしまう、という思いが経営者の肩にのっかってるんだなって思いますね。

 

 

※記事に関連したサービス

抵当権抹消登記

 

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年月日不詳弁済で抵当権抹消

2020年5月21日

不動産を売却する際には、その不動産の登記簿を確認します。

 

すると、亡くなった方の名義のままだったり、かつて付けられた抵当権(担保)が残っていたり、賃借権が設定されていたり、ということがままあります。

 

そこそこあります。

 

 

2か月ほど前、お世話になっている不動産屋さんから、登記簿がメールされてきて、売買のための仲介をするんだけど、これ消える?と。

 

見ると、抵当権が2つ。

 

抵当権者の1つはこちらの地銀が窓口になっている政府系金融機関。もう1つは所有者さんの祖父様が取引していた会社。

 

本日、政府系金融機関さんの窓口になっていた銀行さんから連絡。抹消の書類が揃ったので取りに来て。

 

預かった書類を見ると、昭和の時代に完済したのは間違いないけど、いつか分からないんです、という法務局宛ての上申書が入っていた。

 

抵当権抹消登記には、解除や弁済した日が記載されるのだが、その日が特定できない。

 

こういう場合、年月日不詳弁済を登記原因として可能である(登記研究567号)

 

もう一つの抵当権者の話をしたいのだが、この会社既に解散(清算結了)している。どうやって抹消するの?

 

については、また後日、たぶん明日。

 

 

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住宅ローンを完済したとき

 

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