コロナ禍にあって理事会、総会等々の書面決議が増えています。
とある一般社団法人さんからのお問い合わせ。
「今回代表理事Aが理事を退任し、Bが理事、代表理事に就任するんですが、それを書面決議にしました。理事会議事録の印鑑は何を押せばいいですか?」というもの。
代表理事(代表取締役)の交代の印鑑は難しいんです。
司法書士になってからも、その都度考えます。
ネットを調べていると、こんなブログ記事を見つけました。
「代表理事をみなし決議で選任(印鑑証明の要否?)」 ずばりの記事です。
書いているのは、金沢市の司法書士が繋ぐ路アメブロ。2016.3.23
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わしやないかーい
この記事によると、理事会を書面決議でやった場合、理事全員が実印で押印、印鑑証明を付けるのが原則で、例外はなし、と言っています。
理事何十人もいるんですけど。
こうもはっきり言われるとそうかな?と思いつつ、でも実際困るんだよなと思う。
結論は、このブログの最後は間違いです。例外はあります。
例外は、変更前の代表理事が理事会議事録に法人の実印をを押印したときです。
まさに、ここが私が難しいと感じるところで、難しいというか気持ち悪く感じてきたところで、その都度調べることになる原因なんですが。
変更前の代表理事は理事の地位からも去るのに、法人の実印を押印するって何?
理解が難しいと暗記に頼りがち。テスト勉強からのクセですかね。
代表理事(代表取締役)Aが平理事(平取締役)にとどまったときは、理事Aの記名の横にこの法人実印を押せばいいんだよ、と。
こう覚えると、今回のように平理事も退任するケースではダメで、理事全員が実印で押印、印鑑証明を付けないとダメなんだという答えを出してしまう。
これはね、私のあの気持ち悪さ、違和感が原因なんです。
理事Aの記名の横に「代表理事の印」と通常書かれた法人実印を押す違和感。
Aが理事退任後監事になったら、監事Aの記名の横に「代表理事の印」と通常書かれた法人実印を押す違和感。
丸暗記はやめてちゃんと理解しましょう。改めて。
ここで重要だったのは、退任するAに新たにBを代表理事に選任する理事会に出席する権限があったか否かがポイントなんです。
それは辞任届に日付や書きぶりにかかわってきます。
つまり、理事会前の日付で辞任するものだったりするとアウト。理事会終結までは理事の地位を有しているような書きぶりであれば、Aは後の理事会にも出席する権限があるんですね。
そうなっていれば、Aは理事会に出席することができ、出席した以上押印もできる。その押印は「代表理事の印」と通常書かれた法人実印を押すわけです。
Aは代表理事就任の登記申請時に法人実印を法務局に届け出をします。その際、代表理事の地位にいることは必須です。時がたち、Bに代表理事がかわり、Bの代表理事就任の登記申請までは、Aがこの法人実印を使用します。そして理事会に出席権限があれば、Aがこの法人印を押印できます(「代表理事の印」のような文言による気持ち悪さは無視しましょう)。
あのブログの記事は一部間違っていますのでお気を付けください。