死因贈与契約には執行者を定めましょう

2021年4月23日

今日の朝一の相談。

 

机の上に「念書」と書かれたA4大の書面。

 

内容は、死因贈与契約書。

 

死因贈与契約とは、贈与契約ですが、贈与者の死亡によって効力が発生するというもの。

 

弁護士さんのところでも相談してきたそうですが、司法書士さんにも見てもらって

登記できるものかどうかを見て欲しいとのこと。

 

死因贈与は死亡によって効力が発生するので、遺言と似ているんですが、違いは遺言が遺言者の単独行為で作成できるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の二当事者で作成するというもの。

 

契約ですから、2人の意思表示で成立しますから、口約束でも成立します。

 

中身を見てみると、不動産も特定されていますし、死亡を契機に、所有権を移転したいという意思も明確です。

 

しがって、実体的には、死因贈与契約が有効に成立しているように判断できます。

 

では、登記ができるか?という視点でみますと、

 

遺言の場合は、受遺者が単独申請で登記ができるのに対し、死因贈与の場合は、贈与者側と受贈者の共同申請でないと登記ができません。

 

贈与者はその時点では死亡しているので、贈与者の相続人ということになります。

 

相続人は協力してくれるでしょうか?

 

相続人の利益に反する契約です。

 

応じてくれない場合訴訟の必要が出てきます。応じてくれるにしても、もし多数の相続人がいる場合は面倒です。

 

そこで、死因贈与契約書を作成する場合に、重要なポイントを一つお伝えします。

 

それは、「執行者」を定めておくことです。

 

遺言執行者と同じですね。

 

執行者を定めておくと、受贈者はこの執行者と共同で登記申請すればよいのです。

 

また、執行者は受贈者本人でも構いません。その場合は、尚容易になりますね。

 

あるいは、司法書士がいいと思いますが。

 

「自分の死後、大切な財産をどうしたいのか?」と迷ったら司法書士に相談しましょう。

 

まず、遺言がいいのか?死因贈与がいいのか?家族信託という選択も?

 

どれを選択するのか?

 

選択したら、ベストの記載はどういうものか?

 

せっかく作ったのに、その思い通りに実現できないとしたら、悔やんでも悔やみきれません。

 

まあ、悔やむときには、本人はもういないんですけどね。

 

1人で判断しないで、遺される大切な人が困らないようにしてあげましょうね。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ遺言ブログ~

合同会社設立の決定書の日付

2021年4月22日

法務局から電話。

 

申請している合同会社設立登記の補正(間違いの訂正)を求めるもの。

 

聴くと、社員による決定書の日付が資本金払込前の日付になってるけど、決定書の日付は資本金払込後でないといけないよ、と。

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

えっ!?

 

社員がすることは、まず定款を作成すること。次に資本金を払込むこと(出資)。定款で定めなかったようなことを決定すること(決定書)。

 

通常、定款には本店所在地を詳しくは記載しない。例えば、当法人の本店所在地は金沢市北安江三丁目13番・・・だが、定款には金沢市までしか記載しない。これは、金沢市内で引越しするたびに定款変更が必要になって面倒だからである。

 

なので、定款とは別に決定書を作成し本店の詳しい住所を記載する。

 

今回、資本金の額を定款には定めず、この決定書に記載した。

 

最初のえっ!?の理由は、これまで決定書の日付は定款作成の日付と同一とし、それで法務局からも1度も補正の連絡をもらったことがなかったから。

 

改めて、「決定書の日付は資本金払込後でないといけない」の根拠は?

 

会社計算規則第44条

 

持分会社の設立時の資本金の額は、設立に際して出資の履行として持分会社が「払込み又は給付を受けた」財産の出資時における価額の範囲内で、社員になろうとする者が「定めた」(零以上の額に限る。)とする。(削除箇所あり)

 

つまり、合同会社の資本金の額は、社員が払い込んだ金額の範囲内で、社員が決定した額。

 

先に払い込んで、その後で、その額の範囲内で決めるという順序。

 

だから、資本金の額を決めた決定書の日付は、資本金が振り込まれた後の日付でないといけないという訳。

 

今まで何も言われず登記が通っていたのが間違いらしい。

 

ちなみに、株式会社の場合は?

 

会社計算規則第43条

 

この条文には発起人が「定めた」という文言がない。株式会社では、払い込まれた金額は何も決めなければ自動的に資本金になるという考え方。

 

つまり発起人決定書の日付は資本金が振り込まれる前でもよいということ。

 

 

どうしても理解できないこと

 

資本金の額を定款で定めた場合(実はこちらが多分定番)、定款の作成は資本金の払い込みの前になるはずなのに、それで構わないという理屈。てか整合性。

 

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ会社設立ブログ~

 

 

 

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