抵当権の抹消と相続と裁判

2020年10月1日

二つの抹消登記をたまたま同日に申請した件。

 

抹消登記で1番多いのは抵当権抹消登記である。住宅ローンを完済した際に行われるのが一般的である。

 

今回は、金融機関の抵当権ではなく、貸主が個人であったケース。

 

借主が完済したのは何十年も前。

 

その際に抹消登記をしていれば、今の貨幣価値で言えば、司法書士の報酬を含めても2万円前後ではなかろうか?

 

では、そのとき抹消せずに、今になって抹消しようとするとどうなるのか?

 

最大の問題は当事者の増加である。

 

抹消するには、抵当権の全ての相続人の協力を得る必要がある。前提として相続人調査や押印に費用がかさんでいくのである。

 

今回、たまたま同日に申請することになった抹消。

 

1つは相続人が10人ほどいましたが、1人の相続人が積極的に動いてくれて比較的短時間で押印が済み、登記申請にこぎつけました。

 

もう1つは、それ以上の相続人の数のケース。

 

どうしても押印に難色を示され、仕方なく裁判の判決をとることに。

 

裁判を起こしたのは、昨年末。被告の数やコロナによる期日の延期もあって、判決が確定したのは9月末。

 

当然、費用もかかりました。

 

抵当権の抹消にしろ、相続にしろ、必要なときに時間をかけずやってしまいましょう。

 

後回しにしていいことは、ほとんどありません。

 

子や孫に迷惑をかけてはいけません。

家族信託じゃなきゃダメですか?

2020年9月25日

このコロナのせいでお盆にも帰省できなかった相談者さん。

 

9月の連休。

 

入院している高齢のお母さんに会いに漸く帰省。そして、お母さんの今後について家族会議。

 

今は、年金や貯蓄で入院費用はまかなえているが、いずれはご自宅を売却する日が来るのではないか? そのときお母さんの判断能力は大丈夫だろうか?

 

事前にネットでいろいろと調べてきたそうだ。

 

家族信託を利用するのがお母さんのためにはベストなのでは?という感触をもったそうです。

 

で、

 

連休中に当職と相談。

 

話を聴くと、ご自宅はお母さん名義ではなく既に亡くなったお父さんの名義のままなのだそうだ。

 

お母さん名義だとすれば、将来、お母さんのために売却するとき、お母さんに充分な判断能力が必要である。

 

であれば、この機会に、相続人であるお子さん(相談者さん含め)名義にかえておくのが良いのでは?という提案。

 

幸い、相談者さんたちは皆さん一様にその実家をお母さんのために使いたいと考えている。

 

では、家族信託はどうなの?

 

なるほど、選択肢としてはある。

 

が、家族信託は契約である。しかも、ボリュームのあるかなり理解が難しい契約である。

 

これを入院している高齢のお母さんにご理解頂き、手続きを進めていくにはハードルが高い。

 

その旨を相談者さんに伝えると、

 

「そうやね、絶対理解してもらうの無理やは。お父さんが亡くなってすぐは名義変更の話できんかったけど、最近ではお前たちの名義にかえておかんとと言ってたわ」と。

 

シンプルな解決方法が見つかり、ホッとしたようでした。

 

ネットには色々な情報が散らばっていますが、その情報の正確性だったり、自分たちのケースに当てはまるのか?は、専門家に聞いてみる方が早いですよ。

 

是非!

 

誤解がないように言いますが、家族信託はいい制度ですよ。当てはまるならば。

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ相続ブログ~

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