供託による休眠担保権抹消

2020年6月22日

相続登記のご依頼を受けました。

 

つまり、不動産の所有権の名義変更のご依頼。

 

よく見ると、昭和前半の抵当権が残っている。しかも金融機関ではなく個人が抵当権者。さらに2人。

 

そのことを依頼者さんにお伝えすると、この機会に抵当権も消して欲しいと。

 

実際、抵当権がついた不動産は売れないですからね。

 

そこで抵当権者の調査に入る。

 

1件は抵当権者に相続が発生。もう1件は抵当権者へ連絡がつかない。

 

この場合どちらが消しやすいかというと、後者。

 

前者は相続人と連絡をとり了承を得る必要がある。押印やら印鑑証明を付けたりとご協力が得にくい場合も。

 

じゃあ、後者は?

 

連絡がつかないというのは、郵便を送っても宛所なく返ってくるということ。

 

連絡がつかない以上、返済して抹消しようとなる。

 

相手と連絡がつかないのに返済できるの?

 

できるんです。

 

供託という方法です。将来、相手が出てきたときに備えて、国に預けておくというくらいのイメージでしょうか。申請場所は法務局です。

 

いくら?

 

こういう古い抵当権の債権額は、何十円だったり、何百円だったり。当時はそれなりの額でしょうが、今だとたいしした金額ではありません。

 

これに利息を付けて返済額(供託額)を算出します。

 

どう算出するの?

 

ちゃんと法務省に専用ソフトがあってダウンロードできます。

 

今回は数百円の債権額で供託額は2000円ほどでした。

 

何枚もの戸籍を収集し、相続人のご協力を得なければいけない前者と比べていかに簡易なことか。

 

したがって、抵当権調査の段階で、役所から登記簿上の住所で戸籍や住民票がとれませんという回答がきたときの喜びようは、司法書士ならではですね。

 

安堵。

 

この金額で問題ないよね?と法務局と事前打ち合わせを済ませて登記申請となるわけです。

 

 

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ相続ブログ~

 

年月日判決に基づく根抵当権抹消

2020年2月7日

本日、根抵当権抹消登記が完了。

 

抹消といえば、通常、準備も含め1週間ほどで完了する。

 

が、

 

今回は、実に約3か月。

 

これでも、最速だったと自負している。お正月を挟んで。

 

なぜ、それでも時間を要したかというと、根抵当権者の会社が破産していたから。

 

そのために特別代理人を選任し、裁判をしないといけなかった。

 

今回の抹消の原因は、時効消滅。元本が確定してから10年。ちなみに元本確定事由は債務者の相続。

 

例えば、債務者の死亡が平成10年10月10日としよう。

 

時効消滅というのは、10年の期間が満了すると、10年前(起算日)に遡って消滅したことになる。

 

で、

 

平成10年10月10日に消滅したのか? 11日に消滅したのか?

 

が、事務所内で争いになった。

 

が、

 

法務局も巻き込むと、それ特定する必要ある? 年月日判決で抹消したら?というもの。

 

実は、10日か11日かも、裁判官でも判断が分かれるらしい。書記官もしれっと、特定しないのが通常のようだよ、と教えてくれた。

 

だいぶマイナーな話だが、弁済期日のあるケースならいわゆる初日不算入の考え方から11日となり、今回のような債務者死亡というケースなら10日が正しいという見解が当事務所の最終結論。

 

とはいえ、ご依頼は根抵当権を確実に抹消すればよい。その理由は問わない。10日か11日かは関係ない。

 

ということで、起算日は10日と訴状の請求原因には記載するが、請求の趣旨には「根抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。」とだけ。

 

それを受け判決書と確定証明書を付けて登記申請。

 

登記原因は、「年月日判決」 この年月日は判決確定日。

 

申請から1週間弱で登記完了。

 

この後、売買が控えているとのこと。

 

不動産を売るには、それに設定されている抵当権や賃借権は抹消しないといけない。

 

いざ売りたいときに、こういうのが付いていると、その機会を失うかもしれませんよ。

 

早めの抹消をお薦めします。

 

 

白山。何か綺麗だったので写メ。

 

今、冬だったね? ここ金沢だったね? と思い出す朝でした。

 

 

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