ペットの行く末の心配

2018年10月31日

司法書士事務所というものは、通常月末が忙しい。

 

たぶん、うちも。

 

銀行さんが月末あたりに融資を実行することが多いから。

 

たぶんと言ったのは、うちの優秀な司法書士たちがしれっと終わらせてくれるもんだから。

 

 

という訳で、そんな忙しかったであろう月末に、私はと言うと、ご依頼を受けている公正証書遺言作成支援。

 

依頼者さんは高齢な一人暮らしの女性。

 

来週には公証人役場で立会をして完成!というところまで来たんですが、おやっ?

あの猫はどうなるの?

 

と、心配になって、自分が亡くなった後の行き先を決めておきたい。と、思い立ち、取り敢えず来週の立会は延期。

 

依頼者さんに代わって、猫ちゃんの終の棲家探し。

 

世には、そんな施設だったり、NPO法人があるとも聞く。

 

ググってみたが、よく分からないので、行政が持っている情報に頼ってみようということで、まずは金沢市役所へ。

 

こういうことは電話より、実際会う方がいいと何となく思っている。より親身に聴いてくれるという経験則。

 

それなら保健所かな?と言われ、保健所へ。

 

こういう方がいなくなったら飼ってたペットはどうなるの?と聴いてみたところ、

 

身勝手な放棄じゃなかったら、市が引き取ります。

 

えっ?そうなの?

 

心配になって、殺処分とかされるんですか?と確認してみたら、金沢は殺処分ゼロを目指していますから、大丈夫です、と。今の市長の意向で、と。

 

おっ、市長、次の選挙、投票しようか?と心が動く。

 

弱った心に、若干うるっくる。

 

より詳しくは、動物愛護管理センターという所が別にあるんで、と教えられ、本日はそこに。

 

センターの方に相談。

 

今、市は引き取りしてないんです、と。昨日と違う。言葉に誠実さがあったので、話を聴く。

 

どうしたらいい?

 

まず、飼主さんにはペットを最期まで大事に世話してもらうのが原則。それが難しくなったら、ご自身で、新しい飼主を見つけてもらう。

 

もっともである。

 

では、そんな民間団体はないだろうか?

 

あったとしても、依頼者さんが亡くなったときに、その団体が存続しているとは限らない。生まれては消えていくということも実際多いそうだ。

 

とは言え、かかりつけの獣医さんに相談してみる、というのも手だよ、と教えてられ、なるほど明日行ってみるか、と思う。

 

今日は、この辺で。

 

自身がいなくなった後のペットを心配してとれる手法に幾つかある。例えば、遺言。ペットは法律的には物なので、誰かに遺贈する。ペットを世話してくれることを条件に財産を遺贈する負担付き遺贈というのもある。これを遺言ではなく生前に契約する負担付き死因贈与という方法も。最近耳にするようになったペット信託という方法も。

 

ただ、これらは実際に新しい飼主がいることが前提です。

 

うちの実家にも犬がいます。

 

ペットは飼主を癒してくれます。家を明るくしてくれる有難い存在です。

 

その行く末が心配になるお気持ちはよく理解できます。

 

という訳で、明日は獣医さんだな。

 

 

 

※記事に関連したサービス内容

公正証書遺言作成支援

 

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猫とおばあちゃんの一席

2018年9月26日

本日、朝一、遺言の打ち合わせに94歳の女性宅へ。打ち合わせは4回目?

 

ソファーに座ると、「先生の苗字、金氏でしょ? ずっとお宮さんかな?お寺さんかな?って思ってましてん」と。

 

「はい、寺ですね。実家が。能登の方ですけど」

 

これで、依頼者さんの何かスイッチが入った。宗教観というか、人生観というか。

 

 

「先生ね、私、猫1匹と暮らしてるでしょ? 猫って何もなつかんもんやけどね、それでも年に3回4回は病院に連れていかなあかん、爪切ってもらったり、すぐそこやけどね。そしたら、今日は検査もしましょうって言われましてん。「お願いします」って言ったら、チューって血取ってましたわ。13000円ですって。私、「そりゃ人間様より高い」って言いましてん。そしたら「これね、別の所に送って検査してもらうからや」って言われたからね、「先生、なら抜いた血元に戻して」って言えんでしょ。仕方ないから、払いましたわ、財布空になってもうた」

 

 

さらに続く。

 

「猫って盛りがあるでしょ。どっか近所の猫もやってきますんや。あっち行けって怒りつけてやったら、うちの猫が自分を怒ったと思って、爪立ててきますんや。ほら爪こうなってるでしょ。もの凄い血でましたよ。それから怒らんと水かけて追い払おうと思いましてね、先生。ホースやったら準備してるところで、猫もやられると思うからダメ。それで平和堂のおもちゃ屋に水鉄砲を買いに行きましてん。見つからんから店員さんに「水鉄砲ある?」って聞いたら、「今は置いてないんですけど、お孫さんにですか?」って。「なんもや、猫にや」って言ったら、「へえ、猫にですか?」って・・・・・・」

 

 

さらにいく。

 

「猫に餌あげんといかん。「とといるか?」って聴くと、ちまーとして、くれるの待っとるわいね、先生。ほらこんな小さい煮干しみたいな魚売ってるでしょ?袋に入って。頭とか尾っぽ付けたら消化に悪いかと思って、取ってやるんですよ。そしたら、こーんなもんや。それを見た近所の人が、「何やいね○○さん、そんなに小さい魚の頭と尾っぽを取るんかいね」って笑ってましたわ。でもね、先生、どんな生き物でも大切にしないとあかんと思うんですよ。私。庭の木も青々として、あれを根元から切るなんてしたらあかんと思うんですよ。」

 

「3日4日ほど前にね、庭で水やっとったら、こんな小さいアマガエルがおりましてん。ああ、水にあたらんと死んでもうわって思ったからね、頭から水をかけてやりましてん、先生。その後も、あのカエルどこに行ったかな?って翌日もその次の日もこうやって草かき分けて探してみたんやけど、どこにもおらん。そしたら向かいの人が「○○さん、ピョンコちゃん、うちの鉢植えにおるよ」って。「あら、ピョンコちゃんって誰やいね?」ってついて行ったら、「何言ってるん、○○さんが探してたやつやがいね」って言うもんやさかい、覗いてみたらこんな小さいカエルがこんなんして座ってたわ、先生。あのカエルかどうかは分からんかったけど、「本当やね」って言いましたわ」

 

もっと行くよ。

 

「でもね、先生、こうやって声かけてくれるって、本当に嬉しい。気持ちがないとできないですもんね。私、よう声かけられますのんや。外行ったら。私は憶えてなくて、「あんた誰やったけ?」って言うけど、あっちは憶えてくてれる。私ね、敬老会とか行くの大好き。隣りに座った人と、お酒飲みながら、あーでもないこーでもない話するの大好き。私の周りだけ、ビール6本も7本も並んどる。一人で寂しそうに座ってる人もおるけど、あーでもないこーでもない話するのも大事や思うんです。そしたら、○○さん面白い人やって憶えてくれる。また声かけてくれる。だから敬老会は行きたい。先生、100万円あっても、健康じゃなかったら行けん。健康って本当大事。昔は、若いころはそんなこと思わんかったよ。でもこの歳になったら、明日は分からん身になったら、本当にそう思う。私は、幸せやと思うんよ、先生」

 

最後、

 

「そうか、やっぱりお寺さんやったか。△△さん、先生を紹介してくれた人。あの人も理屈なあ人や。「○○さん、何も心配せんでいい、困ったことがあったら、先生がいいがにしてくれるから」と言ってくれた。でもね、先生、私もこの歳まで生きとる。△△さんに言われんでも、自分の目で見たら分かる。信頼できる先生かどうか。」

 

 

こんな感じで、○○さん、御年94歳の落語というのか、漫談は終わった。

 

なぜか?

 

泣きそうになった。

 

 

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