遺言は最後の意思表示だから

2018年11月19日

18時を回ると事務所で1人になることが多く。

 

そんな時間に電話がなるとドキッとする。

 

先週、そういう時間に電話。依頼者さんから。94歳女性。

 

内容は、既に固まったと思っていた公正証書遺言の案を大幅に変えたいというもの。公証人役場に立会は明日。

 

遺言は遺言者の意思一つで作る。つまり、遺言者の意思が全てであり、最後の意思表示と呼ばれるものである。

 

気持ちの変化もなるほどと思えたので、その意思に沿った形に変更したものを持参して、ご自宅に訪問。もう10回は超えているはず。ネコも私の顔を覚えている様子。

 

打ち合わせは簡単に終わり、ご自宅を後にする。

 

あっ、携帯忘れたと気付き、戻ると、「まあ、先生上がって」と言われ、再度お邪魔すると、

 

「先生、雑煮食べる?」と既にお盆の上にのった雑煮登場。

 

「○○さんのお昼のでしょう?」「いいの、いいの、また作るし」

 

ということで、おこたに入って雑煮を食べる。お餅3つ。前回は焼き芋を頂いたような。ここで。

 

「昨日もね、うちに来た人が眼鏡を忘れてって今朝取りに来たのよ。眼鏡もファッションの1つ。綺麗に磨いておかないといけなと思うの、先生。だから私拭いて渡してあげたの」

 

(眼鏡もファッションだ! 賛成だ! お若いなって思う)

 

私は○○さんのお話が好きだ。長いけど、好きだ。

 

若い頃は、接客業の経営者でもあったので、お話が上手。そしてためになる。「私ね、お店の子にお客さんの悪口だけは言わさないようにしてたの。そういうのって面と言わなくても、そういう態度に出ちゃう。それをお客さんは感じ取るものなのよ。逆に、ちゃんと接すれば、お客さんはまた来てくれるものよ」と。

 

終活という言葉をよく聞くようになった昨今。

 

公正証書遺言はその代表的なものだが、任意後見契約というものがある。

 

お元気なうちに、自分が判断能力が低下したときに後見人になってもらう人と結ぶ契約。お元気なうちは見守りといって、月に一度ほど様子を見に来る、判断能力が低下してきたと判断すれば、後見人の仕事に切り替わっていく。

 

○○さんとは、月に一度見守りに来たいなって思う。

 

後見契約結んでないけど。

 

そんな人。

 

※記事に関連したサービス内容

公正証書遺言作成支援

 任意後見契約

 

~石川県金沢市の司法書士が繋ぐ遺言ブログ~

遺言執行とネコのひっかき傷

2018年11月12日

ここ1か月半ほど続いている遺言の打ち合わせ。1週間ぶりにご自宅訪問。

 

依頼者さんが心配しているのはネコ。

 

生まれて間もなくから飼っているネコ。

 

亡くなったご主人が胸ポケットに入れて自転車でスーパーに行ったネコ。

 

 

前回の相談についてはこちら

 

自分がいなくなったら飼って欲しいとお願いに行ってきたそうですが、そちらにもご事情があって、断られたそうで、

 

次に、普段からお世話になっている獣医さんにも相談に行かれたそうです。

 

紹介を受けた先は、当職も先日相談に行った動物愛護管理センター。

 

そんなことを2日ほどしたそうですが、不思議とその2日間ネコが家に戻ってこなかったそうです。心配で眠れなかったそうです。

 

よく死期が近づいたネコは飼主の前から居なくなるっていいますよね。

 

「先生、ネコって分かるんですよ」と。

 

・・・・・・・・・・・

 

依頼者さんは、自分がそういう相談をしているから、そのことがネコにも伝わり、ネコはネコで、「○○さん心配しなくていいよ。僕は大丈夫だよ」と気を遣って出て行ったんじゃないか?って思ったそうです。

 

そのことを想像する度に、当職の前で泣かれていました。

 

2日後にはちゃんと帰ってきたネコに、最後まで一緒にいようねって心から謝ったら、それから普通に走り回っとるわ、と嬉しそうでした。

 

遺言としては、当事務所(法人)が2次的に遺言執行者となり、そのときが来たら先の動物愛護管理センターと相談していくことにしました。

 

その証に、ネコちゃんの写真の入ったキーホルダーを預かってきました。

 

将来、動物愛護管理センターの方と当職を含めたうちの司法書士たちがネコを保護しに行くことになるでしょうね。

 

幸い、うちのパートナー司法書士はネコを多頭飼いした経験があり、敏腕司法書士くんのご実家にもネコがいるそうです。

 

安心、安心。

 

ネコが依頼者さんに気を遣って2日間家出したのかはよく分かりませんが、ネコがどう思ったんだろう?と想像してしまう依頼者さんのお気持ちは分かる気がしますね。

 

なので、ちょっとのひっかき傷は覚悟しときます。

 

 

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