法定相続分の預金払い戻し認めない判決

2017年4月7日

午後から、成年後見人の業務として、とあるメガバンクをはしご。

 

被後見人の相続手続きの一環として、被相続人の口座解約手続。

 

相続自体はとてもシンプルだったんですが、口座自体が古く、メガバンクならではの合併合併による口座の存否確認から。

 

結局、数百円の預金を解約するのに1時間半。次のメガバンクでは40分。

 

ちなみに、司法書士は成年後見業務以外でも、遺産承継業務として、相続登記以外でもこういった手続きを代行いたしますので、お忙しい方はご相談ください。

 

 

さて、この預金の払い戻しについて、昨日6日に、最高裁で興味深い判決が出ました。

 

遺産相続をめぐって相続人間で争いがある場合に、当該相続人が法定相続分の預金を払い戻せるか?が争われました。

 

これまででしたら、できますよ。という回答でした。

 

これまでの判例は、預貯金は遺産分割の対象外としていたため、相続人の合意がなくても自身の法定相続分の払い戻しが認められていました。

 

しかし、昨年、最高裁で、預貯金は遺産分割の対象であるという判決が下りました。

 

その判決との整合性を保つためでしょうか?

 

遺産分割の対象なんだから、遺産分割協議が終わっていない段階では、法定相続分であっても預金の払戻しは認めない、という結論になりました。

 

遺産分割協議というのは、時間がかかることがあります。

 

法定相続分に従って半分ずつにしようというケースでも前に進まないことがあります。現実に抱えている案件の中にもあります。

 

しびれを切らして、じゃあ、もう法定相続分の半分だけ預金をおろすわ、と言えたわけです。これまでは。

 

これからは、遺産分割の話し合いが済むまではおろせません。実務的に結構影響の出る判決だったのではないでしょうか?

 

 

受任していた相続案件の遺産分割協議書等が出来たので、連絡を取ろうとこの数日していたんですが、どうもタイミングが悪かったようで、先ほど漸くつながりました。

 

「実は、明日、四十九日なんですよ。みんな集まるんです。」

 

県外の方には遺産分割協議書等を郵送しようと思ってましたから、それはいい、じゃあ、今すぐお持ちします。

 

せっかくですから、四十九日の席で、皆さんに押印して頂いて下さい。という運びになりました。

 

顔を突き合わせての遺産分割協議が何よりです。

 

 

 

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相続登記は名寄帳の取得から

2017年4月6日

数年前に相続登記をさせて頂いた依頼者さんから電話。

 

話を聴くと、数年前の相続登記から抜け落ちた不動産があるのではないか?というもの。

 

胃の辺りが、キリッとする。

 

地方にあっては、山林や田畑や、不動産の数でいうと、数十とか百を超える場合もある。

 

故に相続登記の中から漏れてしまうことは、あり得る。

 

あり得るがゆえに、司法書士は慎重になる。

 

したがって、抜け落ちたなんてことがあれば、恥ずかしすぎるミスということになろう。

 

謝罪の意味も含め、ご自宅へ。

 

相続登記から現在までの間に、町の地籍調査があって、その際に取得した登記簿が用意されていた。

 

登記が終わった際にお返しした大量の権利証(登記識別情報)の中に、なるほどその登記簿の不動産がない。

 

その際に作成した遺産分割協議書にもその不動産の記載はない。

 

いよいよ、私のミスである。

 

すみません。抜け落ちたようです。すぐに、抜け落ちた不動産の相続登記を進めます。

 

依頼者さんは、全然怒っていない。急いでないからゆっくりやってねとも。

 

額に汗。

 

何気にその際にお返しした名寄帳に目を移す。

 

??

 

ん?

 

あれっ? この不動産、名寄帳にも載っていない。

 

司法書士が相続登記のご依頼を受けると、まずするのは、この名寄帳を取ること。

 

なぜなら、この帳簿には、被相続人が所有していた不動産が列挙されているからである。

 

それを元に、登記情報を取得し、権利関係を把握していく。

 

司法書士が、抜け落ちないように慎重になるのは、この名寄帳に列挙されているものが過不足なく、遺産分割協議書に書かれるか?である。

 

そもそもここから抜け落ちてしまうと、調べようがない。

 

何でこんなことが起こったんだろう??

 

と、本日、町役場の固定資産税課へ。

 

担当の方に調べてもらうと、分かったことは、相続人でない方に請求が行っていた。

 

そんなことあるの?と思うかもしれないが、私はこれで3回目なので、あることはあるのである。(登記できなかったのは初めてだが)。

 

しかも、その不動産の評価額が低すぎて固定資産税が発生しないケースだったそうで、間違った先にも通知書が発送されなかったために誰にも発見されず。

 

今回、私の問い合わせで、表に出てきたそうです。

 

で、その名寄帳も取ったんですが、町役場のミスで、数年前出せなかったということで、300円はとられませんでした。

 

そんなこともあるようです。

 

ちなみに、こんなこともあろうかと、司法書士が遺産分割協議書を作成するときには、後日判明した不動産は〇〇が相続するみたいな文言を入れることが多い。

 

というわけで、粛々と、この相続登記を進めるのでした。

 

私のミスではないんですよ。

 

って理解して頂くのって難しいだろうな。。。

 

言葉を重ねれば重ねるほど言い訳しているみたいで。

 

そもそも、依頼者さん怒ってないし。

 

人はミスするものさ。ってみんなが寛容でいてくれると良いですね。プロが言っちゃいけないでしょうけど。。

 

それにしても、ないことの証明は難しいね。

 

ね。安部さん。

 

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