相続登記は名寄帳の取得から

2017年4月6日

数年前に相続登記をさせて頂いた依頼者さんから電話。

 

話を聴くと、数年前の相続登記から抜け落ちた不動産があるのではないか?というもの。

 

胃の辺りが、キリッとする。

 

地方にあっては、山林や田畑や、不動産の数でいうと、数十とか百を超える場合もある。

 

故に相続登記の中から漏れてしまうことは、あり得る。

 

あり得るがゆえに、司法書士は慎重になる。

 

したがって、抜け落ちたなんてことがあれば、恥ずかしすぎるミスということになろう。

 

謝罪の意味も含め、ご自宅へ。

 

相続登記から現在までの間に、町の地籍調査があって、その際に取得した登記簿が用意されていた。

 

登記が終わった際にお返しした大量の権利証(登記識別情報)の中に、なるほどその登記簿の不動産がない。

 

その際に作成した遺産分割協議書にもその不動産の記載はない。

 

いよいよ、私のミスである。

 

すみません。抜け落ちたようです。すぐに、抜け落ちた不動産の相続登記を進めます。

 

依頼者さんは、全然怒っていない。急いでないからゆっくりやってねとも。

 

額に汗。

 

何気にその際にお返しした名寄帳に目を移す。

 

??

 

ん?

 

あれっ? この不動産、名寄帳にも載っていない。

 

司法書士が相続登記のご依頼を受けると、まずするのは、この名寄帳を取ること。

 

なぜなら、この帳簿には、被相続人が所有していた不動産が列挙されているからである。

 

それを元に、登記情報を取得し、権利関係を把握していく。

 

司法書士が、抜け落ちないように慎重になるのは、この名寄帳に列挙されているものが過不足なく、遺産分割協議書に書かれるか?である。

 

そもそもここから抜け落ちてしまうと、調べようがない。

 

何でこんなことが起こったんだろう??

 

と、本日、町役場の固定資産税課へ。

 

担当の方に調べてもらうと、分かったことは、相続人でない方に請求が行っていた。

 

そんなことあるの?と思うかもしれないが、私はこれで3回目なので、あることはあるのである。(登記できなかったのは初めてだが)。

 

しかも、その不動産の評価額が低すぎて固定資産税が発生しないケースだったそうで、間違った先にも通知書が発送されなかったために誰にも発見されず。

 

今回、私の問い合わせで、表に出てきたそうです。

 

で、その名寄帳も取ったんですが、町役場のミスで、数年前出せなかったということで、300円はとられませんでした。

 

そんなこともあるようです。

 

ちなみに、こんなこともあろうかと、司法書士が遺産分割協議書を作成するときには、後日判明した不動産は〇〇が相続するみたいな文言を入れることが多い。

 

というわけで、粛々と、この相続登記を進めるのでした。

 

私のミスではないんですよ。

 

って理解して頂くのって難しいだろうな。。。

 

言葉を重ねれば重ねるほど言い訳しているみたいで。

 

そもそも、依頼者さん怒ってないし。

 

人はミスするものさ。ってみんなが寛容でいてくれると良いですね。プロが言っちゃいけないでしょうけど。。

 

それにしても、ないことの証明は難しいね。

 

ね。安部さん。

 

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司法書士に払うお金が安くなる??

2017年4月5日

今日の朝刊に、司法書士なら絶対ブログに書きたくなるような、実際多くの司法書士が書いたであろう記事が載っていた。

 

政府の規制改革推進会議がまとめた不動産登記に関する論点案。

 

①不動産所有情報の無料公開。②登記手数料の低廉化・無料化。③相続登記手続きの簡略化。④登記情報とマイナンバーの連携。

 

まだ、論点案の段階だが、これが実施されれば、司法書士業界に激震が?良い意味か悪い意味か?誰にとっての意味か?

 

 

皆さんは、司法書士って儲かると思います?儲かるなら俺もやりたいって思います?

 

マイホームを建てた方や、相続登記をしたという方の中には、司法書士に沢山お金を払ったよ、というご記憶をされている方もいるかもしれません。

 

見積もり(請求書)を見て、こんなにするの?という寂しい顔をされる方もいれば、これだけでいいの?という安心した顔をされる方もいるので、何とも言えませんが。

 

こんなにするの?と思われた方も、ようく見積もり(請求書)を見て下さいね。

 

その中には、司法書士の報酬の他に、登録免許税や実費と言った、司法書士を使わなくても絶対にかかる費用が含まれています。

 

案外、司法書士って儲かっていないかもしれませんよ。

 

この登録免許税や実費に影響してくるのが、①や②ですね。②なんかそのままです。

 

司法書士が登記をする前に必ず登記情報というのを取得して、現在の権利関係を確認します。この登記情報を1通とるのに、平成29年4月現在で335円。①はこれが無料化されるということでしょう。

 

代理業というのは、基本本人さんが自分でするのが面倒だから成り立っていて、その事務作業が大変だからそれが報酬に反映されるわけです。相続登記が簡略化すれば、報酬も下がるということは十分考えられますね。

 

我々司法書士が地味に、それでいてかなり注意を払う登記に、住所変更登記(名変)があります。

 

売買を原因に所有権移転登記をしないといけないとします。現所有者である売主さんの住所が登記したときと変わっている場合、住所変更登記をしないといけないんです。

 

ローンを組んで不動産を買うとなると、住所変更登記、所有権移転登記、抵当権設定登記を一緒に申請しないといけないんですが(連件申請)、しかも決められた日に。住所変更登記にミスがあって1度取り下げてなんてことになったら、司法書士の信用は丸つぶれ。

 

だから、この住所変更登記には細心の注意が払われます。

 

④はマイナンバーと所有者の転居を結びつけるということなので、この登記が不要になるなんてこともあるかもしれない。

 

どうです?

 

司法書士なら絶対にブログにしたい記事です。

 

こういう実費が安くなって、不動産登記が身近になって、司法書士の仕事が増えるかも?と考えるか、さらに簡略化して、司法書士使わなくてもいいんじゃね?と考えるか、はあなた次第。というより、司法書士次第。

 

 

そんな激動の時代を迎えつつある司法書士業界に入りたいと勉強を始めたとある男性が、本日、事務所見学に来られました。

 

ホームページに見学大歓迎的なことを書いているのを目にされたそうです。

 

本当に大歓迎。

 

近い将来、登記、司法書士業界は大きく変わるかもしれない。

 

としても社会に必要とされる存在であれば、仕事の内容は変わっても、この資格は残るんだろうと思います。

 

司法書士は実にやりがいのある仕事です。

 

是非、勉強を続けて、この業界に入ってきてくれることを望みます。

 

そして、私自身、司法書士人生を大いに楽しむために、個人事務所を司法書士法人にしました。

 

そのときこうも思いました。勉強をしている人が、受かったらあの事務所で働きたいなって思ってもらえる事務所にしたいと。

 

変わりつつある中でこそ、今を生きる。

 

“Carpe Diem” (カルペ・ディエム)

 

 

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